二日間のきついバイトを終えた俺は安堵していた。これで詩の願いである“旅行”にも行けそうだからだ。とはいっても未成年が二人で宿泊などほぼ無理だから日帰りではあるが、それでも十分だろう。
そしてその前に花火がしたいという詩の希望を叶えるため、今日の夜は母親もちょうど家に帰ってこないから近くの公園に行くことになっている。
だが、花火へ行く前に詩と向かっている場所がある。
「美世ちゃん今日は部活休みなんだ。珍しい」
「らしいよ。あっちから連絡してくれたから助かった」
今日は美世にも会う約束をしている。
待ち合わせ場所は詩の実家の近くの公園だ。
詩の親友には何を言われても嘘をつき通すつもりだ。多分矛盾点は探そうと思えばいくらでも探せるだろうし詩の親友は既に俺を疑っている。だが、詩の手紙は本人が書いたものだ。
それだけは本当だから怪しまれても俺の仕事は手紙を渡すということだけだ。
「詩の実家近くだと詩の家族とかに会わないようにしないと」
「うん、そうなんだよね。私友達は美世ちゃんしかいないからばったり会っちゃう可能性といえば家族くらいだから」
詩とバスを下りて目的の公園に到着した。
詩には道路を挟んだ離れたところにいるように指示した。会いたいのに、話したいのにそれが出来ないのは一番辛いだろう。
ベンチで美世が来るのを待っていると、足音が近づき俺は顔を上げる。
そこにはチノパンに白いブラウス姿の美世が立っている。
ぱっと見は成人した女性に見えるが、それは美世の放つ落ち着いた雰囲気と容姿にあるのだと思った。
彼女は軽く会釈をすると俺の隣に腰を下ろした。
「美世です。あなたは詩の…友達なんですよね」
座ってすぐに軽い自己紹介と単刀直入なセリフが飛んでくる。
当然のように疑いの目を向けられる。きりっとした目元と真一文字に結ばれた口がそれを間接的に伝えてくる。
俺はなるべく感情を表に出さないようにしながら言葉を紡いでいく。
「そうです。俺は詩の友達…です」
「そうですか、全く信用信じられる内容ではありませんが前回は感情的になってしまい、ごめんなさい。あの時はつい頭に血が上って…」
「いいえ、僕も逆の立場ならば同じ態度を取ったと思いますから」
「ありがとう。それで、詩の手紙っていうのは?」
「これです」
俺は鞄の中から手紙を手渡す。それを手にしても尚、美世は信じていないようだった。
そしてその前に花火がしたいという詩の希望を叶えるため、今日の夜は母親もちょうど家に帰ってこないから近くの公園に行くことになっている。
だが、花火へ行く前に詩と向かっている場所がある。
「美世ちゃん今日は部活休みなんだ。珍しい」
「らしいよ。あっちから連絡してくれたから助かった」
今日は美世にも会う約束をしている。
待ち合わせ場所は詩の実家の近くの公園だ。
詩の親友には何を言われても嘘をつき通すつもりだ。多分矛盾点は探そうと思えばいくらでも探せるだろうし詩の親友は既に俺を疑っている。だが、詩の手紙は本人が書いたものだ。
それだけは本当だから怪しまれても俺の仕事は手紙を渡すということだけだ。
「詩の実家近くだと詩の家族とかに会わないようにしないと」
「うん、そうなんだよね。私友達は美世ちゃんしかいないからばったり会っちゃう可能性といえば家族くらいだから」
詩とバスを下りて目的の公園に到着した。
詩には道路を挟んだ離れたところにいるように指示した。会いたいのに、話したいのにそれが出来ないのは一番辛いだろう。
ベンチで美世が来るのを待っていると、足音が近づき俺は顔を上げる。
そこにはチノパンに白いブラウス姿の美世が立っている。
ぱっと見は成人した女性に見えるが、それは美世の放つ落ち着いた雰囲気と容姿にあるのだと思った。
彼女は軽く会釈をすると俺の隣に腰を下ろした。
「美世です。あなたは詩の…友達なんですよね」
座ってすぐに軽い自己紹介と単刀直入なセリフが飛んでくる。
当然のように疑いの目を向けられる。きりっとした目元と真一文字に結ばれた口がそれを間接的に伝えてくる。
俺はなるべく感情を表に出さないようにしながら言葉を紡いでいく。
「そうです。俺は詩の友達…です」
「そうですか、全く信用信じられる内容ではありませんが前回は感情的になってしまい、ごめんなさい。あの時はつい頭に血が上って…」
「いいえ、僕も逆の立場ならば同じ態度を取ったと思いますから」
「ありがとう。それで、詩の手紙っていうのは?」
「これです」
俺は鞄の中から手紙を手渡す。それを手にしても尚、美世は信じていないようだった。