「そっか。私はさ、蒼君の弟の立場なんだよね。だから会いに行きなよって強くは言えないや。お姉ちゃんもそうだったのかなって思うと…」
「…うん」
詩は足を抱えるようにして座り、日光でキラキラと輝く海を見ていた。
その横顔は寂しそうに見える。詩の姉は詩の手紙を読んでくれたのだろうか。それとも読まずに捨ててしまったのだろうか。
「じゃあ、水着になろうかな~」
詩が立ち上がる。そう言うと周囲の目も気にせずそのままハーフパンツを脱いでしまった。
中に水着を着ているとはいえ、何だか着替えを覗いているようでドキッとした。
直ぐに俺も水着になる。
詩に背を向け、「着替えた?」と訊きながらゆっくり振り返るとそこには水着姿の詩がいた。
一瞬で水着になった彼女は「どう?」と俺に直ぐに感想を求めてくる。
「…に、似合ってる」
「本当?夢だったんだよね、こうやって友達とか彼氏とかと海に行くの」
「そうなんだ」
「そうだよ。蒼君も上半身意外と締まってるね?運動してないのに」
「失礼だな、確かに部活動も入ってないけど」
詩はすらりと長い手足に、白い肌、それらをより強調するようなちょうど海の色に近い水着を着て俺を見上げる。
思わず触れてしまいそうになった。本当に自然に彼女の頬に触れたくなった。
それに気が付き、俺は直ぐに手を引っ込める。
「よおし。じゃあ早速泳ぎにいかないと!」
「人いない場所に行こう」
「確かにそうだね」
もしも、一か月という時間を前に詩がこの世から消えてしまうのならその最後の時は俺がいい。俺が詩に触れた瞬間であってほしいと強く思った。
どうしてこうも彼女は俺の胸を焦がすのだろう、どうして彼女は俺の心の中を埋め尽くしてしまうほど存在が大きいのだろう。
どうして…―。
「蒼君!ほら!早く!」
先に走って行ってしまう彼女を見ながら思った。
手を振り、太陽のように明るい笑みがあまりに眩しくて泣きそうになった。
あぁ、そうか。
―俺は、詩のことが好きなのだ
そう気づいた時、この世はあまりに残酷だと知った。
どうしても彼女がいいのに、どうしても詩じゃないとダメなのに。
どうして。
「…うん」
詩は足を抱えるようにして座り、日光でキラキラと輝く海を見ていた。
その横顔は寂しそうに見える。詩の姉は詩の手紙を読んでくれたのだろうか。それとも読まずに捨ててしまったのだろうか。
「じゃあ、水着になろうかな~」
詩が立ち上がる。そう言うと周囲の目も気にせずそのままハーフパンツを脱いでしまった。
中に水着を着ているとはいえ、何だか着替えを覗いているようでドキッとした。
直ぐに俺も水着になる。
詩に背を向け、「着替えた?」と訊きながらゆっくり振り返るとそこには水着姿の詩がいた。
一瞬で水着になった彼女は「どう?」と俺に直ぐに感想を求めてくる。
「…に、似合ってる」
「本当?夢だったんだよね、こうやって友達とか彼氏とかと海に行くの」
「そうなんだ」
「そうだよ。蒼君も上半身意外と締まってるね?運動してないのに」
「失礼だな、確かに部活動も入ってないけど」
詩はすらりと長い手足に、白い肌、それらをより強調するようなちょうど海の色に近い水着を着て俺を見上げる。
思わず触れてしまいそうになった。本当に自然に彼女の頬に触れたくなった。
それに気が付き、俺は直ぐに手を引っ込める。
「よおし。じゃあ早速泳ぎにいかないと!」
「人いない場所に行こう」
「確かにそうだね」
もしも、一か月という時間を前に詩がこの世から消えてしまうのならその最後の時は俺がいい。俺が詩に触れた瞬間であってほしいと強く思った。
どうしてこうも彼女は俺の胸を焦がすのだろう、どうして彼女は俺の心の中を埋め尽くしてしまうほど存在が大きいのだろう。
どうして…―。
「蒼君!ほら!早く!」
先に走って行ってしまう彼女を見ながら思った。
手を振り、太陽のように明るい笑みがあまりに眩しくて泣きそうになった。
あぁ、そうか。
―俺は、詩のことが好きなのだ
そう気づいた時、この世はあまりに残酷だと知った。
どうしても彼女がいいのに、どうしても詩じゃないとダメなのに。
どうして。