友達?と聞き返したら何というのだろうとか、友達だよと改めて言われたら俺はどういう反応をすればいいのかとか一瞬で様々な考えが浮かぶ。
どうだっていいことなのに。

「へぇ!男の子の部屋ってこんな感じなんだ!」
「その辺に座って。俺シャワー浴びてくる」
「分かった」

 詩は言われた通りローテーブルの近くにある座椅子に腰かけた。
それを確認してからシャワーを浴びに廊下に出る。
(そういえば、一応詩の靴も隠さないと)
浴室に行くついでに詩のサンダルを二階にもっていく。
 今日一日、自転車を漕いでその後長距離を歩き、汗と疲れでシャワーを浴びながら寝そうになった。

「…疲れた」

 明日目を覚ましたら詩は消えているかもしれない。というかもしかしたらこれ自体が夢なのかもしれない、そう思った。
詩には俺のTシャツと短パンを貸した。もちろん彼女には大きすぎる。体に合っていない大きすぎるTシャツ姿は彼女の華奢さをより強調した。

「高校二年生ってことは同い年だよね?」
「そうだな」
 ベッドには俺が寝て、ローテーブルを折りたたんだそこに布団を敷いた。そこに詩が寝ている。電気を消してから少しして詩が俺にそう訊く。

「あまり触れられたくないことかもしれないけど…弟さんいるの?」
「あぁ、うん。いるよ、小学生だけど」