「うん!ありがとう」

 相変わらず屈託のない笑みを簡単に見せてくる。
真っ白い何の柄もないワンピース姿も本来ならば浮きそうなはずなのに彼女の透明感が全く違和感を与えない。
 俺が先に階段を上りながら説明する。二階の一番突き当りの部屋が俺の部屋で10畳ほどある。階段を上りすぐ正面にあるのは弟の俊介の部屋だ。
真ん中は特に使われていない今は物置となっている部屋だが、それなりに広い部屋だから勿体ないとも思う。

「この真ん中の部屋から屋根裏に行ける」
「へぇ!そうなんだ。でも…できれば行きたくないな」
「なんで?暗いから?灯りはもちろんあげるつもりだけど」
「…狭い所に一人でいるのが苦手なの。ごめんね、泊まらせてもらっているのにこんなこと言うの我儘だよね」
「いや、別にいいよ。親がいるときは真ん中の部屋にいたらいい。大丈夫ほぼ誰も入ってこないし。まぁ俺の部屋もほぼ誰も入ってこないんだけど。トイレは二階にもあるし」
「分かった。ありがとう」

 想像してみる。自分が病気を抱えていて治る見込みがないとする。日々悪化する病気を前に俺は何を思うだろう。

―後悔?周囲への感謝?それとも…―。

「ここが蒼君の部屋?」
「うん、そう」

 俺はドアノブに手をやってドアを開ける。

「言っておくけどそんなにきれいにしてないから」
「うんうん、わかってる」
「本当かよ…」
詩とは距離を取りながら部屋に入れた。ベッドに勉強机に、それからローテーブル、本棚…多分一般的な高校生の部屋だと思う。
「わぁ!私友達の部屋に入るの初めてなの!」
「そうなの?」

“友達”と言った詩の言葉はスルーした。