『そうだ、のっぺりした長い顔と彫りの深いブス。ちょうどいいカップルじゃないか。まさしく、あいつは僕よりブスに相応しい男だ』
そのことに思い至って一段と心が落ち着く。普通に考えたら典子を好きになることはない。でも、好きになりかけたし、あの時、自分は典子を可愛いとさえ思った。そう、あの時確かに可愛いと思ったのだ。
『世の中にこんな嘘があるものか!』
でも自分は今目が覚めた。今回のことは自分にとって「セーフ」な出来事であり、良かったことなのだ。なぜなら典子と結婚することもなくなったし、他のちゃんと可愛い子と付き合える可能性が残されたからだ。
『ふぅ、危ないとこだった』
豪介はやっと気持ちが落ち着いてきた。
そしてその頃には空が白み始めていた。
6月30日 土曜日
花田豪介はそのまま朝を迎えた。
朝ごはんを食べるとき「昨日は夜遅くまで勉強してたみたいね」と、母親から声をかけられた。
「まあね」
「この調子だったら期末テストは期待できそうね」
「そうだね…」
来週水曜日は期末テストだ。母親は自分が勉強していたと勘違いして機嫌がいい。食事を終えて自分の部屋に戻る。
『一応机に座ってみるか』と、机に座って勉強道具を広げてみたが、気持ちに整理をつけたつもりでも大きな地震の後の余震のように心の動揺はまだ尾を引いていた。
『だめだ、勉強する気になれない』
豪介は勉強道具を片付けた。さりとていまは久保田を誘う気にもなれない。豪介は仕方なくパズルのアプリをして、漫画を読みただただ時間が過ぎるのを待つことにした。
山形大悟は期末テストの勉強をしながら壁に飾られた写真を見た。写真の中の彼女が自分に微笑んでいるような気がする。
『私バカだから、頭のいい人に憧れるんだ』中学の時の言葉が蘇る。
中学の頃一度だけみんなで遊びに行ったことがあった。男友達の父親が会社でもらったという野球のチケットが6枚あり、その友達が仲のよかった女子に声をかけた。男三人と女三人で行こうということになり、大悟にも声がかかった。その中に大悟が密かに想いを寄せていた彼女がいた。
そのことに思い至って一段と心が落ち着く。普通に考えたら典子を好きになることはない。でも、好きになりかけたし、あの時、自分は典子を可愛いとさえ思った。そう、あの時確かに可愛いと思ったのだ。
『世の中にこんな嘘があるものか!』
でも自分は今目が覚めた。今回のことは自分にとって「セーフ」な出来事であり、良かったことなのだ。なぜなら典子と結婚することもなくなったし、他のちゃんと可愛い子と付き合える可能性が残されたからだ。
『ふぅ、危ないとこだった』
豪介はやっと気持ちが落ち着いてきた。
そしてその頃には空が白み始めていた。
6月30日 土曜日
花田豪介はそのまま朝を迎えた。
朝ごはんを食べるとき「昨日は夜遅くまで勉強してたみたいね」と、母親から声をかけられた。
「まあね」
「この調子だったら期末テストは期待できそうね」
「そうだね…」
来週水曜日は期末テストだ。母親は自分が勉強していたと勘違いして機嫌がいい。食事を終えて自分の部屋に戻る。
『一応机に座ってみるか』と、机に座って勉強道具を広げてみたが、気持ちに整理をつけたつもりでも大きな地震の後の余震のように心の動揺はまだ尾を引いていた。
『だめだ、勉強する気になれない』
豪介は勉強道具を片付けた。さりとていまは久保田を誘う気にもなれない。豪介は仕方なくパズルのアプリをして、漫画を読みただただ時間が過ぎるのを待つことにした。
山形大悟は期末テストの勉強をしながら壁に飾られた写真を見た。写真の中の彼女が自分に微笑んでいるような気がする。
『私バカだから、頭のいい人に憧れるんだ』中学の時の言葉が蘇る。
中学の頃一度だけみんなで遊びに行ったことがあった。男友達の父親が会社でもらったという野球のチケットが6枚あり、その友達が仲のよかった女子に声をかけた。男三人と女三人で行こうということになり、大悟にも声がかかった。その中に大悟が密かに想いを寄せていた彼女がいた。

