僕は犬のウンコだけど、特殊能力を持っている

 井上唯は笑った自分の写真を文太に送った。自分では精一杯可愛くして撮ったつもりの写真だったが、やっぱり、自分は可愛くない。それでも文太には自分を知って欲しかった。
 【これが本当の私。可愛くなくてごめんね】
【やったあ!】
 【どうしたの?】
【100%好みだよ、想像してたのより100倍可愛い】
 【本当、本当にそう思ってくれるの?】
【100キロのデブだと思ってたもん】
 【ひどい!】
 【でも嬉しい】
【嘘じゃないよ。本当に可愛い】
 【ありがとう。こんなこと言われたの初めて】
【それじゃ、俺が100万回言ってあげるよ】
 【いいよ、テレちゃう】
【コムギは可愛い×100万回。ほら】
 【もう。怒!】
【ごめん、ごめん、でも、本当に可愛いよ。すごく嬉しいんだ、こうやって写真を送ってくれたこと】
 【本当の私を見たらきっとメッセージくれないんじゃないかと思ってた】
 【私、心が軽くなった】
 【こんな私でもこれからもメッセージを送ってくれる?】
【もちろんだよ。この写真を見ながらバンバンメッセージを送るよ】
 【へへへ、ねぇ】
【なに?】
 【今度文太の写真も送って欲しい】
……
【わかった。今度送るね】
 【うん】
【でもびっくりしないでね】
 【ブ男でも許してあげる】
【うん】
 【それとね、私本当はコムギじゃないんだ】
【えっ?】
 【本当は、唯。井上唯っていうの】
【そっか】
【今度から、唯ちゃんて呼ぶよ】
 【うん、そうして】
【唯ちゃん】
 【何?】
【好きです】
 【あたしも、文太大好き】