徳永がドンドンと足踏みをしながら大原のそばに近寄ってくる。大原が徳永をジッと見ている。だから豪介にもわかる、徳永伸也は本気だ。
「…わかった、わかったよ。もういいよ、悪かったよ。もう何もしないから」と、言うな否や見ている景色がひょこひょこと上下しながら公園を後にしていく。どうやら大原はこの場を逃げ出したらしい。徳永のあのイった目を見たときに大原も自分が感じたのと同じようなことを感じたのだろう。ずいぶん離れたところで大原は振り返った。徳永が地べたに座り込み、律子がその隣で徳永の背中をさすっていた。
目覚めた豪介は『すごいものを見た…』と思った。
『あの徳永さんが大原に突っかかって行くなんて、僕よりもオタク感満載で、僕よりも鈍臭そうで、僕よりも勇気がなさそうなあの徳永さんがこんな行動に出るなんて…』
少なからず豪介は徳永の勇気にショックを受けた。
6月27日 水曜日
【星、見てる?】
【うん、見てる】
【私、こんなところから出たい】
【どうして?】
【生まれ変わりたいんだ】
【そんなに嫌なの?】
【この街もこの家も嫌い】
【そんな寂しいこと言うなよ】
【陰気な街よ。私のこと誰も知らないところに行きたい】
【大学は、遠くに行くつもりかい?】
【うん】
【文太くんが連れ出してくれたら私嬉しい】
【本当?】
【なんてね】
【なんだ、嘘か】
【だって、文太くんあたしを見たら幻滅しちゃうよ】
【そんなことないよ】
【本当?】
【絶対にそんなことない】
【私が、嘘ついてても幻滅しない?】
【しないよ】
【そうだ、いいもの送ってあげる。ちょっと待ってて】
【何?】
【ほらこれ。私が書いた文太の想像図】
【ウワァ、何これ? めっちゃ、ブサイク】
【文太なんて本当はこんなものでしょう】
【俺、これよりマシだよ】
【本当かな?】
【本当だよ】
【まぁ、これぐらいでも許してあげるよ】
【ハードル低いな】
【あら、だったら幻滅してもいいの】
【うそ。幻滅なんてしないよ】
【本当の文太を知りたい】
【うん】
【本当の私も知って欲しい】
【うん】
……
【あれ、寝ちゃった?】
【文太に本当の私を身近に感じて欲しい】
【どうしたの?】
【文太、私を見てくれる?】
【本当の私でメッセージを送りたい】
【文太に嘘はつきたくない】
「…わかった、わかったよ。もういいよ、悪かったよ。もう何もしないから」と、言うな否や見ている景色がひょこひょこと上下しながら公園を後にしていく。どうやら大原はこの場を逃げ出したらしい。徳永のあのイった目を見たときに大原も自分が感じたのと同じようなことを感じたのだろう。ずいぶん離れたところで大原は振り返った。徳永が地べたに座り込み、律子がその隣で徳永の背中をさすっていた。
目覚めた豪介は『すごいものを見た…』と思った。
『あの徳永さんが大原に突っかかって行くなんて、僕よりもオタク感満載で、僕よりも鈍臭そうで、僕よりも勇気がなさそうなあの徳永さんがこんな行動に出るなんて…』
少なからず豪介は徳永の勇気にショックを受けた。
6月27日 水曜日
【星、見てる?】
【うん、見てる】
【私、こんなところから出たい】
【どうして?】
【生まれ変わりたいんだ】
【そんなに嫌なの?】
【この街もこの家も嫌い】
【そんな寂しいこと言うなよ】
【陰気な街よ。私のこと誰も知らないところに行きたい】
【大学は、遠くに行くつもりかい?】
【うん】
【文太くんが連れ出してくれたら私嬉しい】
【本当?】
【なんてね】
【なんだ、嘘か】
【だって、文太くんあたしを見たら幻滅しちゃうよ】
【そんなことないよ】
【本当?】
【絶対にそんなことない】
【私が、嘘ついてても幻滅しない?】
【しないよ】
【そうだ、いいもの送ってあげる。ちょっと待ってて】
【何?】
【ほらこれ。私が書いた文太の想像図】
【ウワァ、何これ? めっちゃ、ブサイク】
【文太なんて本当はこんなものでしょう】
【俺、これよりマシだよ】
【本当かな?】
【本当だよ】
【まぁ、これぐらいでも許してあげるよ】
【ハードル低いな】
【あら、だったら幻滅してもいいの】
【うそ。幻滅なんてしないよ】
【本当の文太を知りたい】
【うん】
【本当の私も知って欲しい】
【うん】
……
【あれ、寝ちゃった?】
【文太に本当の私を身近に感じて欲しい】
【どうしたの?】
【文太、私を見てくれる?】
【本当の私でメッセージを送りたい】
【文太に嘘はつきたくない】

