すると突然窓際の男子から声がかかった。
「典子!」
大きな声で呼ばれ典子がそっちに顔を向ける。
するとそこに豪介がいて、お互いの視線が絡み合った。「ゴンスケ」典子は直ぐに視線を外す。
「ヒューヒュー!」典子の周りの男子が囃立てる。
「ちょっと、やめてよ」典子はあまり相手を刺激しない程度にやんわり拒絶する。
「赤くなるなって」
「俺が言ってやろうか?」
「そうだ、呼んできてやろうか?」
この男子達は何を言っているのだろう、余計なお節介はしないでほしい。なんでみんな放っておいてくれないんだろう。やんわり拒絶しているぐらいでは面白がっている男子達を止めることができない、そう思って「大丈夫だから」とちょっと強めに答えた。
「何が大丈夫なんだよ、遠慮するなって」
「ゴンスケだってお前に会いにきたんじゃねぇか」
この程度じゃダメだ、もっと強く、きちんと意思を伝えなければダメだ!
「私が自分で言うから!」
男子の顔が変わった。その言葉を待ってましたと言わんばかりに喜んでいる。
「おっ! 自分で言うってよぉ」
「典子が自分で告白するって!」
「おぉー!」
「いつだ?」
「いつ告白するんだよ?」
「その時は教えろよ」
「絶対に教えろよ、応援するからな」
教室内にどよめきが起こる。
この状況を放っておいたら男子たちにゴンスケのもとに連れて行かれるかもしれない。そうなる前に、そうなる前に…。
『ゴンスケ君に直接言うんだ』
席の離れた場所でそのやり取りを聞いていたのは山形大悟だった。大悟は自分の席で教科書を開き次の授業の予習のふりをしながら意識は典子の会話に集中していた。そして典子の「私が自分で言うから!」と言ったのを聞いた。大悟が受けた衝撃は計り知れない。『あの典子が告白する』自分にはできないことをやってのける焦りの感覚だった。典子が告白すればゴンスケと典子は恋人同士になる。自分より頭も悪いし顔も悪いと思っているイケてない人間がいとも簡単に自分を追い抜いてカップルになっていく。
『あの二人は、あんな二人のくせに…』
ゴンスケと典子で成立するのなら、自分が成立しないわけはない。
『僕だって…』
「典子!」
大きな声で呼ばれ典子がそっちに顔を向ける。
するとそこに豪介がいて、お互いの視線が絡み合った。「ゴンスケ」典子は直ぐに視線を外す。
「ヒューヒュー!」典子の周りの男子が囃立てる。
「ちょっと、やめてよ」典子はあまり相手を刺激しない程度にやんわり拒絶する。
「赤くなるなって」
「俺が言ってやろうか?」
「そうだ、呼んできてやろうか?」
この男子達は何を言っているのだろう、余計なお節介はしないでほしい。なんでみんな放っておいてくれないんだろう。やんわり拒絶しているぐらいでは面白がっている男子達を止めることができない、そう思って「大丈夫だから」とちょっと強めに答えた。
「何が大丈夫なんだよ、遠慮するなって」
「ゴンスケだってお前に会いにきたんじゃねぇか」
この程度じゃダメだ、もっと強く、きちんと意思を伝えなければダメだ!
「私が自分で言うから!」
男子の顔が変わった。その言葉を待ってましたと言わんばかりに喜んでいる。
「おっ! 自分で言うってよぉ」
「典子が自分で告白するって!」
「おぉー!」
「いつだ?」
「いつ告白するんだよ?」
「その時は教えろよ」
「絶対に教えろよ、応援するからな」
教室内にどよめきが起こる。
この状況を放っておいたら男子たちにゴンスケのもとに連れて行かれるかもしれない。そうなる前に、そうなる前に…。
『ゴンスケ君に直接言うんだ』
席の離れた場所でそのやり取りを聞いていたのは山形大悟だった。大悟は自分の席で教科書を開き次の授業の予習のふりをしながら意識は典子の会話に集中していた。そして典子の「私が自分で言うから!」と言ったのを聞いた。大悟が受けた衝撃は計り知れない。『あの典子が告白する』自分にはできないことをやってのける焦りの感覚だった。典子が告白すればゴンスケと典子は恋人同士になる。自分より頭も悪いし顔も悪いと思っているイケてない人間がいとも簡単に自分を追い抜いてカップルになっていく。
『あの二人は、あんな二人のくせに…』
ゴンスケと典子で成立するのなら、自分が成立しないわけはない。
『僕だって…』

