『やっぱりこのことは人に話してはダメだったんだ。あの時と同じだ。小学校の時にみんなから嫌われたあの時と。よりによって、牧園さんに、牧園さんに嫌われてしまった。変態野郎になってしまった。こんな力があるからいけないんだ。この力で僕は牧園さんを守るつもりでいい気になって、挙げ句の果ては好きって言われるかもしれないって…。だけどこんなものは変態でしかない。他人と繋がれるなんて変態以外の何物でもない。僕は変態だ! 僕は変態だ! 僕は立派な変態だ!』
牧園ゆかりは豪介の頬を叩きその場を去った後冷静になって考えてみた。男子から「こりゃいけるかもしれない。うん、可愛い」と自分が口に出したことをあけすけに言われたことが恥ずかしくて、しかも自分と繋がったこともあるなんて気持ちの悪いことを言われたものだから思わず頬を打ってしまったが、よくよく考えれば、人と繋がれるなんてそんなバカなことがあるはずはない。バイトの話は大原純の彼女の芽衣ちゃんからでも聞いて適当に作った話なのだろう。銀治郎から告白されたことだって本人から聞けばわかることだし、自分が髪の毛を切ったことも、クラスの女子に話したことだった。自分としたことがちょっと軽はずみな行動だったかなとは思ったが、そもそもそんなことを言って近寄ってくるような気持ちの悪いやつだからこれで二度と近寄ってこないだろう。そう考えると、悪かったと思うよりスッキリした気持ちの方が強かった。
豪介は自分の部屋に帰ってくると、改めて自分の浅はかだった考えに身もよじれるような恥ずかしさと後悔に襲われた。
『言うべきじゃなかった、言うべきじゃなかった、言うべきじゃなかった…』
頭の中に「言うべきじゃなかった」という言葉だけが渦のように回り続ける。できることなら心と体を分離して、心だけどこかに捨て去りたい。目をつぶれば先ほどの光景が蘇ってしまう。頬に残るビンタの痺れも続いている。もし今寝たら牧園さんと繋がってしまうかもしれない。その時には誰かと電話して「今日すごい変態がいたんだよ」と、耳を塞ぎたくなるような自分の悪口を聞くことになるかもしれない。心がちぎれそうに苦しい。部屋にいるとどうしてもこのことだけを考えてしまう。
牧園ゆかりは豪介の頬を叩きその場を去った後冷静になって考えてみた。男子から「こりゃいけるかもしれない。うん、可愛い」と自分が口に出したことをあけすけに言われたことが恥ずかしくて、しかも自分と繋がったこともあるなんて気持ちの悪いことを言われたものだから思わず頬を打ってしまったが、よくよく考えれば、人と繋がれるなんてそんなバカなことがあるはずはない。バイトの話は大原純の彼女の芽衣ちゃんからでも聞いて適当に作った話なのだろう。銀治郎から告白されたことだって本人から聞けばわかることだし、自分が髪の毛を切ったことも、クラスの女子に話したことだった。自分としたことがちょっと軽はずみな行動だったかなとは思ったが、そもそもそんなことを言って近寄ってくるような気持ちの悪いやつだからこれで二度と近寄ってこないだろう。そう考えると、悪かったと思うよりスッキリした気持ちの方が強かった。
豪介は自分の部屋に帰ってくると、改めて自分の浅はかだった考えに身もよじれるような恥ずかしさと後悔に襲われた。
『言うべきじゃなかった、言うべきじゃなかった、言うべきじゃなかった…』
頭の中に「言うべきじゃなかった」という言葉だけが渦のように回り続ける。できることなら心と体を分離して、心だけどこかに捨て去りたい。目をつぶれば先ほどの光景が蘇ってしまう。頬に残るビンタの痺れも続いている。もし今寝たら牧園さんと繋がってしまうかもしれない。その時には誰かと電話して「今日すごい変態がいたんだよ」と、耳を塞ぎたくなるような自分の悪口を聞くことになるかもしれない。心がちぎれそうに苦しい。部屋にいるとどうしてもこのことだけを考えてしまう。

