20時前に次のシフトの有田律子がやってきた。一旦バックヤードに行くとコンビニの制服を着て店内に戻ってくる。するとほどなくして牧園さんが「バイト上がります」と言ってバックヤードに消えていった。律子が床のモップがけを始める。牧園さんが着替えを終え、「お疲れ様でした。お先します」と言ってコンビニを後にすると、有田律子、徳永伸也が「お疲れ様」と言って送り出した。すると大原純も「それじゃ、俺も上がろうかな」と言って、バックヤードで制服を脱ぎ、店内を少し物色して、カップラーメンとお菓子を持ってレジに向かった。レジは徳永だ。
『何も動きがなかったなぁ…』と、思っていると、何か小さな視線の動きがあって、徳永がビクっとした。大原が店の奥の律子を見る。彼女は床のモップがけに忙しいらしくこちらを見ていない。大原が千円を徳永に渡す。商品は240円。徳永がレジを打ち、震える手で9,760円の釣り銭を渡した。大原はさっと釣り銭を受け取り、ポケットにしまい込んだ。
『やりやがった!』
大原がお店を出て行く時、徳永が追ってきた。大原は徳永に素早く千円を渡し、徳永はそれをポケットに入れた。
「お疲れした」大原が徳永と店の奥のいる律子に向かって挨拶をして帰って行く。律子が徳永の方へ歩いていくのが見えた。が、大原は気がつかなかったのか、そんなこと気にしないのか口笛を吹きながらヘルメットをかぶり原付に乗って走り出した。
「見たァ!」
豪介は目を覚ましながら叫んだ。
「見た、見た見た。ついに見た!」
犯人は大原純と徳永伸也だ。興奮に心臓が高鳴り、かすかに手も震える。まるで神様にでもなったような気分だ。テストでヤマが当たった時の気持ち、いやもっとすごい。言い表せない。とにかく、今日は最高の1日になり、最高の眠りになった。おさまらない興奮をなんとか鎮めると、『さて、どうやってこれを牧園さんに知らせよう…』と考えた。どうにかして牧園さんに知らせなければならない。そうしたら、そうしたら…。
『きっと牧園さんは「ゴンスケありがとう」とか「ゴンスケってすごのね」とか「ゴンスケ最高!」と言って、「わたし…、わたし…」となって、僕自身知らない魅力に気がついてくれて…。「ゴンスケ、好き」なんてことに…』
今度は自分の脳天気な想像に興奮して震え出した。
「わぉ! 俺って最高!」
6月26日 日曜日
『何も動きがなかったなぁ…』と、思っていると、何か小さな視線の動きがあって、徳永がビクっとした。大原が店の奥の律子を見る。彼女は床のモップがけに忙しいらしくこちらを見ていない。大原が千円を徳永に渡す。商品は240円。徳永がレジを打ち、震える手で9,760円の釣り銭を渡した。大原はさっと釣り銭を受け取り、ポケットにしまい込んだ。
『やりやがった!』
大原がお店を出て行く時、徳永が追ってきた。大原は徳永に素早く千円を渡し、徳永はそれをポケットに入れた。
「お疲れした」大原が徳永と店の奥のいる律子に向かって挨拶をして帰って行く。律子が徳永の方へ歩いていくのが見えた。が、大原は気がつかなかったのか、そんなこと気にしないのか口笛を吹きながらヘルメットをかぶり原付に乗って走り出した。
「見たァ!」
豪介は目を覚ましながら叫んだ。
「見た、見た見た。ついに見た!」
犯人は大原純と徳永伸也だ。興奮に心臓が高鳴り、かすかに手も震える。まるで神様にでもなったような気分だ。テストでヤマが当たった時の気持ち、いやもっとすごい。言い表せない。とにかく、今日は最高の1日になり、最高の眠りになった。おさまらない興奮をなんとか鎮めると、『さて、どうやってこれを牧園さんに知らせよう…』と考えた。どうにかして牧園さんに知らせなければならない。そうしたら、そうしたら…。
『きっと牧園さんは「ゴンスケありがとう」とか「ゴンスケってすごのね」とか「ゴンスケ最高!」と言って、「わたし…、わたし…」となって、僕自身知らない魅力に気がついてくれて…。「ゴンスケ、好き」なんてことに…』
今度は自分の脳天気な想像に興奮して震え出した。
「わぉ! 俺って最高!」
6月26日 日曜日

