僕は犬のウンコだけど、特殊能力を持っている

【それじゃブ男で性格がいいのと、格好良くて性格が悪いのとどっちを選ぶ?】
 【そりゃ、格好良くて性格がいい男よ】
【なんだよそれ!怒】

6月23日 土曜日
 三日間は何事もなく過ぎ、豪介にとって大事な土曜日がやってきた。
 花田豪介は遅めのお昼なのか、早めの夕飯なのかを食べて万全の準備を整えると早くもベットの中に潜り込み、大原純の顔を思い浮かべて寝た。今宵は大原がやろうとしていることをしっかり見なければいけない。コンビニネコババ事件の決定的証拠を掴まなければ。
『大原純…、大原純…、大原純…』

 暗闇の先に小さな光の点が見える。その光がブワッーと視界いっぱいに広がり見慣れたコンビニの店内にいることがわかる。鏡にちらりと映った顔は大原純の顔だった。大原が視線を動かした先には同じバイトの徳永伸也もいたし、牧園さんもいた。
 土曜の夕方の店内は行楽帰りのお客で比較的忙しく、さすがの大原もサボらずに仕事をしているようだ。19時を回ると、ようやくお客も落ち着きひと段落してきた。大原が馴れ馴れしく牧園さんに話しかける。
「ゆかりちゃんて、芽衣ちゃんと同じ高校なんでしょう」
「えっと?」
「中村芽衣、知ってる?」
「あっ、2組の」
「そう。オレの彼女なんだ」
「へぇ、そうなんですか」
『えっ、ヒョウ柄真っ赤なツルツルパンティーはうちの生徒だったのか!』豪介はあの色っぽいパンティーの娘が同じ高校の生徒だと知り驚いた。世の中は狭い。
「ゆかりちゃん、オレの友達でよかったら紹介しようか?」
『何!』
「大丈夫です」
「ゆかりちゃんなら選び放題なんだけどね」
「いいです」
「なんだったらオレと付き合わない?」
『!』
「冗談、冗談だよ、このこと芽衣ちゃんには内緒ね」
 大原は一歩牧園さんに近づいて小さな声で話しかける。
「これ連絡先、あいつうるさいから、このことは黙っていてね。今度おごってあげるよ」
『こいつは、あわよくば牧園さんともいい仲になろうとしてやがる。全くどいつもこいつも…』豪介にはどうにもならないイライラが募っていく。
「いいえ、結構です」
 牧園さんはキッパリと断り、連絡先も受け取らなかった。
『ザマアミロ』