『銀治郎が告白をするのは明日で、時間が経てばたつほど銀治郎の毒牙にかかる危険が高くなる。まずは一刻も早くコンビニネコババ事件の犯人を見つけることが大切だ。コンビニの犯人が分かればそれを牧園さんに伝える。典子の告白はその時が来るまでいなしておく。すると牧園さんは僕の正義感と、僕自身気がついていない魅力に気がついてくれて、その時銀治郎と付き合っていても別れて僕と付き合うことになる。きっとその時はまだ銀治郎の毒牙にかかっていない。典子のことはその時ゆっくり振ればいい。
仮に、運が悪くて僕と牧園さんが付き合うまではいかなくても、いい友達にはなれるだろう。そしたら友達として銀治郎の正体をばらして毒牙にかかる前に別れさせればいい。そうなった時は僕は滑り止めの典子と付き合う。本命と滑り止めは月とスッポンほどの差があるが、今の自分には中間がないこともよくわかっているから仕方がない。うん、よしっ、これだ。まとまった。これでいい』
豪介はえもいわれぬ高揚感に包まれた。自分には明るい未来が開けていると感じ、ワクワクする。アドレナリンが出ているとはこういうことなのだろう、居ても立っても居られず豪介は久保田に電話した。
「なんだよゴンスケこんな時間に? どうした?」
「もしかしたら俺はすごいことになるかもしれねぇよ」
「すごいことってなんだよ」
「まぁ、見てろって」
「なんだよそれ?」
「まぁいいからいいから、それじゃおやすみ」
「なんだよ、全然意味わからねぇよ」
豪介は久保田の電話を切った。そして大事な大事な明日のために今日はもう寝ないと決めた。
6月16日 土曜日
花田豪介は一睡もせず、運命の土曜日を迎えた。
豪介達の通う高校は月に2回程度の土曜授業がある。教室には生徒たちの気だるさと、午後から遊びに行く予定があるものたちの浮ついた空気が混ざり合っていた。
豪介は昨日眠らなかったおかげで、授業中強烈な睡魔が襲ってきた。まぶたが重い。でもまだ眠るわけにはいかない、目に力を入れて睡魔と戦う。シャーペンを手の甲に突き刺し、太ももにボールペンを突き刺し、目立たぬようにまぶたにメンソレータムを塗って、とにかく耐えた。
そして授業が終わった。
仮に、運が悪くて僕と牧園さんが付き合うまではいかなくても、いい友達にはなれるだろう。そしたら友達として銀治郎の正体をばらして毒牙にかかる前に別れさせればいい。そうなった時は僕は滑り止めの典子と付き合う。本命と滑り止めは月とスッポンほどの差があるが、今の自分には中間がないこともよくわかっているから仕方がない。うん、よしっ、これだ。まとまった。これでいい』
豪介はえもいわれぬ高揚感に包まれた。自分には明るい未来が開けていると感じ、ワクワクする。アドレナリンが出ているとはこういうことなのだろう、居ても立っても居られず豪介は久保田に電話した。
「なんだよゴンスケこんな時間に? どうした?」
「もしかしたら俺はすごいことになるかもしれねぇよ」
「すごいことってなんだよ」
「まぁ、見てろって」
「なんだよそれ?」
「まぁいいからいいから、それじゃおやすみ」
「なんだよ、全然意味わからねぇよ」
豪介は久保田の電話を切った。そして大事な大事な明日のために今日はもう寝ないと決めた。
6月16日 土曜日
花田豪介は一睡もせず、運命の土曜日を迎えた。
豪介達の通う高校は月に2回程度の土曜授業がある。教室には生徒たちの気だるさと、午後から遊びに行く予定があるものたちの浮ついた空気が混ざり合っていた。
豪介は昨日眠らなかったおかげで、授業中強烈な睡魔が襲ってきた。まぶたが重い。でもまだ眠るわけにはいかない、目に力を入れて睡魔と戦う。シャーペンを手の甲に突き刺し、太ももにボールペンを突き刺し、目立たぬようにまぶたにメンソレータムを塗って、とにかく耐えた。
そして授業が終わった。

