牧園ゆかりは学校からの帰り道、休み時間に小林美咲がやってきたことを思い返していた。何度か喋ったことはあるが、そんなに親しくしていたわけではなかった。なのに突然、「牧園さん、今付き合ってる人いる?」と聞いて来たのだ。付き合っている人はいなかったので、「いない」と正直に答えた。続けて「どんなのが好みなの?」と聞いてきたが、黙っていると「まぁ、いいわ」と言って去っていった。だいたい女子がこういうことを聞いてくる時はその後面倒臭いことになるに決まっている。
『あぁあ、気が重いなぁ…』
「牧園さん」
突然声をかけられ後ろを振り向くとそこに井上唯がいた。
「唯ちゃん」
「牧園さん、一緒に帰ろう」
ゆかりはここ最近唯が明るくなったと思っていた。
「唯ちゃん、何かいいことあったの?」
「なんで?」
唯が急にあたふたし始めた。いいことがあったのは図星だったようだ。
「やっぱり何かいいことあったんでしょう。だって、唯ちゃんなんかこう…」
「明るくなった?」
「そう、そんな感じ」
「うん。自分でもわかってる」
唯は自分の楽しい気持ちを誰かに聞いて欲しくて聞いて欲しくて仕方がなかった。その相手は当然牧園さんだ。牧園さんに言おうか、言うまいか考えながら今度の期末テストのことや、その先の大学のことを話しているとあっという間に駅に着き、電車に乗ったらさらにあっという間に三つの駅がすぎた。
「牧園さん、好きな人いる?」
「えっ!」
ゆかりはあまりにも予期せぬ言葉に意表を突かれた。それが唯じゃなかったらここまで驚かなかっただろう。しかも今日は美咲にも付き合っている人がいるのかを聞かれたこともあって、なんだか不思議な感じがした。唯が「好きな人いる?」と聞いてきたと言うことは、唯に好きな人ができたということだ。
「唯ちゃん、好きな人できたんだ」ゆかりはちょっとおどけた口調で聞いた。きっと唯はそのことを話したいのに違いない。
「なになに、どういうことなの?」
「違うのよ、違うの。まだ、そういうんじゃないの、でも…」
「でも…?」
「なんていうのか、お話するのが楽しいの」
「ほうほう、この学校じゃないはずだから、他校の生徒かな、それとも塾なのかな」
『あぁあ、気が重いなぁ…』
「牧園さん」
突然声をかけられ後ろを振り向くとそこに井上唯がいた。
「唯ちゃん」
「牧園さん、一緒に帰ろう」
ゆかりはここ最近唯が明るくなったと思っていた。
「唯ちゃん、何かいいことあったの?」
「なんで?」
唯が急にあたふたし始めた。いいことがあったのは図星だったようだ。
「やっぱり何かいいことあったんでしょう。だって、唯ちゃんなんかこう…」
「明るくなった?」
「そう、そんな感じ」
「うん。自分でもわかってる」
唯は自分の楽しい気持ちを誰かに聞いて欲しくて聞いて欲しくて仕方がなかった。その相手は当然牧園さんだ。牧園さんに言おうか、言うまいか考えながら今度の期末テストのことや、その先の大学のことを話しているとあっという間に駅に着き、電車に乗ったらさらにあっという間に三つの駅がすぎた。
「牧園さん、好きな人いる?」
「えっ!」
ゆかりはあまりにも予期せぬ言葉に意表を突かれた。それが唯じゃなかったらここまで驚かなかっただろう。しかも今日は美咲にも付き合っている人がいるのかを聞かれたこともあって、なんだか不思議な感じがした。唯が「好きな人いる?」と聞いてきたと言うことは、唯に好きな人ができたということだ。
「唯ちゃん、好きな人できたんだ」ゆかりはちょっとおどけた口調で聞いた。きっと唯はそのことを話したいのに違いない。
「なになに、どういうことなの?」
「違うのよ、違うの。まだ、そういうんじゃないの、でも…」
「でも…?」
「なんていうのか、お話するのが楽しいの」
「ほうほう、この学校じゃないはずだから、他校の生徒かな、それとも塾なのかな」

