豪介はこれ以上押し問答をしていると母親の機嫌が悪くなりそうだったので、仕方なく、「楽しい夢を見た」と言った。すると、
「あんたね、小学生じゃないんだから。まったく」と言って、母親が不機嫌になり、「寝てばっかりいないで、ちゃんと勉強しなさいよ」と文句まで言われた。
「何だよ、何? って言うから教えたのに、どうして文句を言われないといけないんだよ」
「あんたが寝てばっかりいるからでしょう」と母親はついに怒り始めた。
豪介はこれ以上家にいるとますます文句を言われると思い、いつもよりも早い時間だったが「行ってきます」と言って家を出た。だが、母親から怒られても豪介の機嫌の良さは変わらない。なんと言っても豪介には楽しみがあった。それは牧園さんの髪型を自分の目で見ると言う楽しみだ。
学校の校門をくぐるといつ牧園さんとすれ違うかもしれないと思い、キョロキョロしながら用心して歩く。なんとしても見落としてはならない。だが見落としたいヤツと目があった。
「よぉ、ゴンスケ、ちゃんと断ってくれたか?」
蔵持銀治郎だ。
「あぁ。ちゃんとしといたよ」
「おっ、ありがとよ、それじゃ俺もちゃんと借りを返さないとな」
豪介は『借りを返すって何をしてくれるんだろう?』と思うが、わざわざそれを聞くことはしない。すると後ろから久保田治がやってきた。
「ゴンスケ、おはよう」
「あっ、おはよう」
豪介と久保田は一緒に校舎に入っていく。豪介は久保田といると居心地の良さに心が落ち着く。だからと言って牧園さんの髪型のことは教えない。自分の能力のことを説明するわけにはいかないし、牧園さんの楽しみは自分だけの楽しみにとっておきたいからだ。
「ゴンスケ、銀治郎の頼まれごとちゃんと断ったの」
「あぁ」
「放っておきゃいいのに」
「そういうわけにもいかないだろ」
「真面目だねぇ。返事は返ってきたの?」
「付き合える日が来るまでずっとずっと待ってる。って伝えておいて。だってさ」
「へぇ。伝えたの?」
「心の中でね」
「お前、いいね」と言って、久保田は豪介に向けて親指を立てた。
豪介はそんなことよりも牧園さんが近くにいないか気になって仕方なかった。それでもこの時間は牧園さんを見つけることができず、そして授業が始まった。
「あんたね、小学生じゃないんだから。まったく」と言って、母親が不機嫌になり、「寝てばっかりいないで、ちゃんと勉強しなさいよ」と文句まで言われた。
「何だよ、何? って言うから教えたのに、どうして文句を言われないといけないんだよ」
「あんたが寝てばっかりいるからでしょう」と母親はついに怒り始めた。
豪介はこれ以上家にいるとますます文句を言われると思い、いつもよりも早い時間だったが「行ってきます」と言って家を出た。だが、母親から怒られても豪介の機嫌の良さは変わらない。なんと言っても豪介には楽しみがあった。それは牧園さんの髪型を自分の目で見ると言う楽しみだ。
学校の校門をくぐるといつ牧園さんとすれ違うかもしれないと思い、キョロキョロしながら用心して歩く。なんとしても見落としてはならない。だが見落としたいヤツと目があった。
「よぉ、ゴンスケ、ちゃんと断ってくれたか?」
蔵持銀治郎だ。
「あぁ。ちゃんとしといたよ」
「おっ、ありがとよ、それじゃ俺もちゃんと借りを返さないとな」
豪介は『借りを返すって何をしてくれるんだろう?』と思うが、わざわざそれを聞くことはしない。すると後ろから久保田治がやってきた。
「ゴンスケ、おはよう」
「あっ、おはよう」
豪介と久保田は一緒に校舎に入っていく。豪介は久保田といると居心地の良さに心が落ち着く。だからと言って牧園さんの髪型のことは教えない。自分の能力のことを説明するわけにはいかないし、牧園さんの楽しみは自分だけの楽しみにとっておきたいからだ。
「ゴンスケ、銀治郎の頼まれごとちゃんと断ったの」
「あぁ」
「放っておきゃいいのに」
「そういうわけにもいかないだろ」
「真面目だねぇ。返事は返ってきたの?」
「付き合える日が来るまでずっとずっと待ってる。って伝えておいて。だってさ」
「へぇ。伝えたの?」
「心の中でね」
「お前、いいね」と言って、久保田は豪介に向けて親指を立てた。
豪介はそんなことよりも牧園さんが近くにいないか気になって仕方なかった。それでもこの時間は牧園さんを見つけることができず、そして授業が始まった。