「銀治郎からさぁ、顔を確認したいから送ってもらえって、それで送ってもらったの」
「すげえ胸」
「な。だから銀治郎より先にこれでセンズリこいてやった」
「お前すげえよ!」
「まぁな」
「まぁまぁかわいいじゃん」
「でも、俺が先だから」
「お前格好いいよ」
「まぁな」
 久保田にすげえ、格好いいと言われ、豪介は自分のとった行動が間違っていなかったと確信する。
 学校に着き、教室の中に入るとすでに蔵持銀治郎たちがいた。銀治郎が豪介を見つけ、話しかけてくる雰囲気を察して久保田がすぅーっと豪介から離れた。
「おぅゴンスケ、写真持ってきたか」銀治郎も少なからず期待しているようだ。
「うん」
「見せてみろ」
 豪介は昨日送られてきた写真を銀治郎たちに見せる。向こうの席で久保田がにやにや笑っていた。つられて豪介もニヤついてしまう。この写真でオナニーしてやったことがほんのちょっと豪介に優越感を与えた。銀治郎と優斗と美咲が覗き込むようにして携帯を見る。すると銀治郎が「可愛くねぇな」と言って、携帯を投げ捨てるように豪介に返した。
「ゴンスケ、断っといてくれ」
「えっ?」
「断っといてくれ」
「なんで僕?」
「お前が持ってきた話なんだから、お前が断っといてくれよ」
「そんな」
「俺連絡先知らねぇもん。連絡先知ってるのゴンスケだけだろう」
「連絡先ならここに」
「いいよそんなもの、俺がもらったやつじゃないから」
「だって…」
「わかった、わかった。これは借りにしといてやるから。じゃあな」
 豪介は銀治郎達のそばから離れなかったが、もう豪介に話しかけてくることはなかった。そのうちチャイムが鳴って、豪介はすごすごと自分の席に戻って行った。そんな豪介の姿を久保田が心配そうに見ていた。

 家に帰ってきた豪介は携帯とにらめっこをしていた。学校で銀治郎に言われた「お前が断っておいてくれ」、これをどうしたものかと考えていた。
【銀治郎に写真を見せたけど可愛くないからいいって】と、正直にメッセージを送っていいものか…。
 それとも【いま付き合っている彼女ができたから、もうちょっと早かったら。だって君も十分魅力的だから】とかなんとか理由をつけたほうがいいのか…。
 それとも、【タイプじゃないって】とでもしたらいいのか…。