「こんな小さい写真でわかるかよ、しかも加工してあるだろ。実物はどうだったかって言ってんだよ」
「多分、可愛い」
「なんだよ、それ?」
「僕だってそんなに見てないよ」
「なんで見てないんだよ、無責任だろ」
「ごめん」
『なんで僕は謝らなくっちゃいけないんだ。なんで僕は責められなくっちゃいけないんだ』
「まぁ、銀治郎それぐらいにしてやれよ」
「そうよ。銀治郎君自分で確認したらいいじゃない」
「でも、ブスだったら後々つきまとわれるかもしれねぇじゃん。俺そんなの嫌だよ。ゴンスケさ、一度連絡して写真送ってもらってよ。加工してないやつ。それで決めるわ」
「えっ? 僕そんなのやだよ」
「いいじゃねぇか。乗りかかった船だろ」
『何言ってるんだこいつは、僕がいつ乗りかかったよ。なんでこいつは人に物を頼むのにこんなにも横柄な態度を取れるんだ。どうして僕はこんなやつにきっぱりと断ることができないんだ』
「じゃ、ゴンスケ頼んだからな」
「そんな…」
「あらら、ゴンスケ君大変ね。まぁ、でもうまくいったらおこぼれがもらえるかもね。なにせ銀治郎君女の子に知り合いが多いから」
「いつでも紹介するぜ、そうだ典子とかどうだ?」
『典子って、この前から一体なんだ! ふざけるな!』
「そうだよ、それがいいぞ、俺、我ながらいいこと言ったよなぁ」
「銀治郎君そんな言い方したら悪いでしょう」
「そうか、お似合いなんだけど」
「典子に悪いだろ」と優斗が言った。
「そうよ」
『何を言ってるんだ、こいつらは、一体何を言ってるんだ…』
「そうか、典子に悪いか」
 三人だけで笑っている。豪介は静かにその場を後にした。

 家に帰った豪介は女子高生から渡された連絡先を見ていた。銀治郎に頼まれた写真を送ってくれという連絡をするべきか、しないべきか?
 する・・写真が送られてくる、すると銀治郎が面白半分に典子を紹介しようとする。それは最悪だ。
 しない・・写真が送られてこない。銀治郎から何を言われるかわからない。もしかしたらこの女子高生たちからも渡してくれなかったでしょう、と後々文句を言われるかもしれない。それも嫌だ。
 結局豪介にとってはどちらも嫌なことだった。
『仕方ない…』
 豪介は電話で話をしたらいろいろ聞かれるのも面倒だと思いメッセージだけで写真を頼むことにした。