スゥーと引っ張られるような感覚で光の中からコンビニの商品棚が現れる。ヨレヨレのジーパン、ぽっちゃりした手。どうやら徳永伸也と繋がったようだ。他のバイトは有田律子とどこかの国の留学生だった。徳永はレジを打ち商品を綺麗に整える。またレジを打ち、売れた分の飲み物をバックヤードから補充する。今のところ真面目に仕事をこなしている。30分、1時間と過ぎていく。
 豪介は徳永の真面目な仕事ぶりの中であることに気がついた。徳永の視界の中にはいつも有田律子がいるのだ。初めは気のせいかと思ったが、そのことに気がつき意識をするとそれは確信に変わった。お客さんがいない時などはあからさまだった。しかも律子の太ももやお尻ばかりを見ていた。特に下の段の商品を整えるために律子がしゃがみこむと、ここぞとばかりに視線が動く。パンティーラインがくっきり浮かび上がる時などは食い入るように見ていた。これに関しては豪介が恥ずかしくなった。こんなにジロジロ見ていることを誰かに知られたら恥ずかしいだろうに。気がつかないとは恐ろしいものだ。
 突然、有田律子がこっちにやって来た。険しい顔で徳永をみる。豪介は自分が律子に見られている感じがして落ち着かなくなった。
「ねぇ、私のお尻ジロジロ見てるでしょ、やめてくれない変態、気持ち悪い!」
『図星だ、気づかれていた』
 律子は見ていないようで見ている。そういえばこの調査を始める前、目線を合わせるためにコンビニに行った時もそうだった。
『さぁ、徳永伸也はどうする…』
「すいません…」と徳永は小さな震える声で謝った。
 律子はそれ以上何も言うことはなく、また自分の仕事へと戻って行った。徳永はその後彼女を見ることなく、仕事を続けた。
 豪介は徳永伸也の繋がりを切って目を覚ました。やりきれない気持ちになった。大原純は恋人のスカートをめくっても「もう、エッチ」ですまされ、徳永は律子のお尻を見ていて変態と蔑まれる。この違いはなんだろう。
『やっぱり見た目なのか…』人間はとても残酷だ。

6月10日 日曜日