『結構可愛い! 上の中といったところか』
 大原が気持ち悪い猫なで声を出した。
「もう、早く来てくれないから寂しかったよぉ」
『くっそー、そうか、こいつがさっき連絡を取っていたのはこの可愛い娘だったのかぁ』そう思うと豪介はなんだか腹が立って来た。
「本当? あたしアイス食べたい」
「いまお客さんいないから、好きなもの選んでいいよ」
「嬉しい。あたしね、ハーゲンダッツ食べたかったんだ」と言って、その娘は商品を勝手に取り出した。大原が彼女にこっちにおいで、と言ってバックヤードに連れて行く。バックヤードで飲み物出しをしていた徳永は急に明かりがついて一瞬びっくりしたようだが、「お前、レジ頼むな」と大原が言うと、不服そうな顔をしながらもバックヤードから出て行った。大原は彼女を椅子に座らせて自分も椅子に座る。
 彼女はヒラヒラしたミニスカートから伸びている細くて綺麗な脚を組みながらアイスを食べた。大原の視線はその足や膨らんだ胸元を行ったり来たりしている。彼女はそんな大原に「いま、あたしのこといやらしい目で見てるでしょう」とからかうと、大原は大原で「ちょっとだけ、ちょっとだけパンティー見せてくれたらバイト頑張れるんだけどなぁ」とスケベ心を隠そうともせずに答える。
『こいつらバカだ』と思うが、悲しいかな豪介も大原の視線を楽しんでいた。
「今回のテスト、文系クラスで25位だったんだよぉ、すごいでしょ」
『へぇ、大人っぽいけど高校生だったのかぁ…』
「へぇ、お前結構頭いいんだな」
「あたし頭いいんだよ」
「本当かよ? カンニングしただろう」
「カンニングじゃないんだけどね…」
「まさか」
「なに?」
「先生に乳揉ませた?」
「バーカ。テストの問題が回ってきたんだ」
「へぇ、誰から?」
「中学の同級生」
「なんだよ、俺以外にだれか付き合ってるのかよ」
「ちがうよ。私、浮気するのもされるのも嫌いだもん」
「そいつまだお前のこと好きなんだ?」
「そうかもね。でもテストの問題が回ってきてるのはみんなには秘密にしてるんだ」
「へぇ、秘密って何色かな?」と言って、大原がスカートをひらりとめくった。
「もう、エッチ!」
『うぉヒョウ柄だ!』