『僕が牧園さんの中で特別な存在になっている』そのことに豪介は気づいてしまった。つまり、それはこういうことだ。
『牧園さんの中にも僕がいる』
今まで自分は人と繋がることができて、その人の見ているものや聞いている音を覗くことはできても素通りするだけだった。その人の心の中に自分が存在することはなかった。でも、今牧園さんの心の中には間違いなく自分がいる。自分のことを大切に思ってくれているかもしれない。もちろん好きとかそういう気持ちじゃないことはわかっている。でも、大切な存在になれたんじゃないだろうか。自分の中に大切な存在がいて、その人も自分のことを大切に思っている。この世界で自分が孤独ではないとはっきり思える。
手紙を読み始める前に、ゆかりは豪介を見て改まった感じになって言った。
「ゴンスケ、ありがとう。私一人じゃ何もできなかった」
「へへ…」
「それと、あの時私を守ろうとしてくれたんでしょう?」
「あの時?」
「ほら、大悟が私たちに向かって突進してきたとき、ゴンスケが立ちはだかってくれたじゃない、転んだけど」
「あぁ、あの時ね」いま思い出しても顔から火が出るほど恥ずかしい。
「意外に勇気があってびっくりしちゃった」
「そう?」
「そうよ、銀治郎の時も、道治の時も、いつも私の前に立ってくれたじゃない。気がつくとゴンスケが前に立っててくれた」
「そうだったかな」
「本当はね、嬉しかったの。誰かに守られてるって、一人じゃないって思うから」
牧園さんは辛い過去があって、孤独を感じて生きてきたから誰かから守られたりすることに敏感なのだろう。でも、それが僕だとは自分でもびっくりだ。そんなこと自分でも気付いていなかった。
『ん?』
自分でも気付いていないことに牧園さんが気付いてくれた。
牧園さんが唯ちゃんの手紙を読みはじめた。
《手紙なんて古風だよね。でも、なんか、メッセージとかじゃなくてちゃんと伝えたくて。
『牧園さんの中にも僕がいる』
今まで自分は人と繋がることができて、その人の見ているものや聞いている音を覗くことはできても素通りするだけだった。その人の心の中に自分が存在することはなかった。でも、今牧園さんの心の中には間違いなく自分がいる。自分のことを大切に思ってくれているかもしれない。もちろん好きとかそういう気持ちじゃないことはわかっている。でも、大切な存在になれたんじゃないだろうか。自分の中に大切な存在がいて、その人も自分のことを大切に思っている。この世界で自分が孤独ではないとはっきり思える。
手紙を読み始める前に、ゆかりは豪介を見て改まった感じになって言った。
「ゴンスケ、ありがとう。私一人じゃ何もできなかった」
「へへ…」
「それと、あの時私を守ろうとしてくれたんでしょう?」
「あの時?」
「ほら、大悟が私たちに向かって突進してきたとき、ゴンスケが立ちはだかってくれたじゃない、転んだけど」
「あぁ、あの時ね」いま思い出しても顔から火が出るほど恥ずかしい。
「意外に勇気があってびっくりしちゃった」
「そう?」
「そうよ、銀治郎の時も、道治の時も、いつも私の前に立ってくれたじゃない。気がつくとゴンスケが前に立っててくれた」
「そうだったかな」
「本当はね、嬉しかったの。誰かに守られてるって、一人じゃないって思うから」
牧園さんは辛い過去があって、孤独を感じて生きてきたから誰かから守られたりすることに敏感なのだろう。でも、それが僕だとは自分でもびっくりだ。そんなこと自分でも気付いていなかった。
『ん?』
自分でも気付いていないことに牧園さんが気付いてくれた。
牧園さんが唯ちゃんの手紙を読みはじめた。
《手紙なんて古風だよね。でも、なんか、メッセージとかじゃなくてちゃんと伝えたくて。

