僕は犬のウンコだけど、特殊能力を持っている

「本当は友達も断りたかったんだけど、なんかテストの対策ノートをくれるらしくてバッサリ断ることもできなくて、仕方なく条件つけたんだって」
「へぇ。どんな条件なの?」
「期末テストで1位とったらだって」
「うわっ!」
「本当は絶対無理だと思って言ったんだけどね。それが1位とったらしいの。だから芽衣ちゃん困ってた」
『ん』
 豪介は今の話が引っかかった。よく考えろ、ここはよく考えてみなければならない。豪介は頭をフル回転させて中村芽衣に関することと山形大悟に関する今までのことを最初っから思い出し、考えた。
『もしや、えっ、そんな! そうか…。久保田、典子ありがとう。お前たち気持ち悪いカップルのおかげだ』と、豪介は久保田と典子の噂話好きに感謝した。久保田との繋がりを切ろうとすると…。
「でもね笑えるんだよ、本当は芽衣ちゃんってね、もう付き合ってる人がいるの」
「へぇ」
『へぇ』
「それはね…」
 豪介はその話を聞いて悲しくなった。所詮、そんなものか。

7月13日 金曜日
 牧園ゆかりは学校が終わると、図書室の前で花田豪介と待ち合わせた。今日は自分の方が早く来たようで、豪介はまだ来ていない。
『ゴンスケのやつ喜ぶかな?』
 2、3人の真面目そうな学生が図書室の中に入って行った後、ドタドタドタドタと階段を駆け上がってくる音が聞こえ、豪介が息急き切ってやって来た。
「牧園さん犯人の目星はついた。僕帰ったらすぐに寝るよ、2、3日行動をしっかり確認するから。牧園さんこれで」と言って今来たと思ったのにもう帰って行った。
「もう」
 はじめはあんなに気持ち悪いやつだと思っていたゴンスケだったがこんなにも頼りになるとは思わなかった。いつも一生懸命にやってくれる。そのお礼だと思ってクッキーを焼いて来たのだが渡しそびれた。でも自分がクッキーを渡すことを知らなかったということは、私と繋がっていないのだろう。今更ながら変態と言って頬を打ったことを悪く思うようになった。気が弱くて、真面目で、孤独で…『なんか犬みたい』ゆかりはそう思った。
「さてと」急に時間の空いたゆかりは井上唯のお見舞いに行こうと思い立った。

「ジャジャーン、クッキー持ってきた、アイスもあるよ。一緒に食べよ」