ゆかりは嫌な予感がした。ゴンスケは何を言おうとしているのだろう。そういえば近藤先生に呼ばれて行った時の職員室のあの空気の重さはなんだったのだろう…、あの時も先生は言いにくいことを言おうとしていた。そして唯があれから学校に来ていないこと…。
「牧園さん、ショックを受けないでね…」
ゆかりは何かとんでもないことが起きているのではないかと胸騒ぎがした。
「唯ちゃん、そのあとで…」
「何?」
「自殺未遂してるんだ」
牧園さんは手を口に当て、時が止まったように動かなくなってしまった。
豪介は牧園さんと別れ家に帰ってくると、言われたことを早速実行に移した。
「部屋の中に絶対に痕跡があるはずだから、誰が文太なのかそれを探ってちょうだい」
「それは誰と繋がればいいの?」
「決まってるじゃない、1組の男子全員よ」
7月10日 火曜日
放課後、牧園ゆかりは井上唯の入院している病院に向かった。近藤先生は牧園ゆかりが唯の自殺未遂のことを知っていることに驚いたが、その一方でそこまで知っているのならと病院を教えてくれたのだった。
その病院は隣町にある大きな総合病院で、7階建ての本館と奥には増床した別館があり、その間は中庭になっていた。本館の正面玄関はロータリーになっていて、具合の悪い人を乗せた自動車が止まりやすいようになっている。広い中庭は芝生が広がり何本かの大きな木が植えられていてその下にはベンチが置かれていた。この季節、大きく広げた枝には葉が茂り、ベンチを優しい葉陰で覆っている。
牧園ゆかりが正面玄関から入っていくと広いロビーに人は少なく、診察時間が終わったこの時間は会計待ちのわずかな人がいるだけだった。そのままロビーを突っ切りエレベーターに乗って3階の女性専用入院フロアに上がる。3階にはナースステーションがあり、そこで「井上唯が入院しているのですが、お見舞いにきました」と告げると部屋番号を教えてくれた。ゆかりはその部屋に向かって廊下を歩く、コツコツと自分の足音が聞こえる。
息が苦しくなる。
突き当たりの非常扉のすりガラスは夕陽が差し込みオレンジ色に染まっていた。病院独特の匂いを嗅ぐと胸が締め付けられ、足がすくんでしまう。自分の手が微かに震えているのがわかる。
「牧園さん、ショックを受けないでね…」
ゆかりは何かとんでもないことが起きているのではないかと胸騒ぎがした。
「唯ちゃん、そのあとで…」
「何?」
「自殺未遂してるんだ」
牧園さんは手を口に当て、時が止まったように動かなくなってしまった。
豪介は牧園さんと別れ家に帰ってくると、言われたことを早速実行に移した。
「部屋の中に絶対に痕跡があるはずだから、誰が文太なのかそれを探ってちょうだい」
「それは誰と繋がればいいの?」
「決まってるじゃない、1組の男子全員よ」
7月10日 火曜日
放課後、牧園ゆかりは井上唯の入院している病院に向かった。近藤先生は牧園ゆかりが唯の自殺未遂のことを知っていることに驚いたが、その一方でそこまで知っているのならと病院を教えてくれたのだった。
その病院は隣町にある大きな総合病院で、7階建ての本館と奥には増床した別館があり、その間は中庭になっていた。本館の正面玄関はロータリーになっていて、具合の悪い人を乗せた自動車が止まりやすいようになっている。広い中庭は芝生が広がり何本かの大きな木が植えられていてその下にはベンチが置かれていた。この季節、大きく広げた枝には葉が茂り、ベンチを優しい葉陰で覆っている。
牧園ゆかりが正面玄関から入っていくと広いロビーに人は少なく、診察時間が終わったこの時間は会計待ちのわずかな人がいるだけだった。そのままロビーを突っ切りエレベーターに乗って3階の女性専用入院フロアに上がる。3階にはナースステーションがあり、そこで「井上唯が入院しているのですが、お見舞いにきました」と告げると部屋番号を教えてくれた。ゆかりはその部屋に向かって廊下を歩く、コツコツと自分の足音が聞こえる。
息が苦しくなる。
突き当たりの非常扉のすりガラスは夕陽が差し込みオレンジ色に染まっていた。病院独特の匂いを嗅ぐと胸が締め付けられ、足がすくんでしまう。自分の手が微かに震えているのがわかる。

