僕は犬のウンコだけど、特殊能力を持っている

 頬がジンジンする。だけど風が気持ちいい。隣には牧園さんがいる。風が牧園さんの髪の毛を揺らす。牧園さんとこんな時間が持てるとは夢みたいだ。
「ゴンスケが人と繋がれるってのは本当だと思ってたけど、どこかで半信半疑だったのかもしれない。でもさっきのゴンスケを見ててやっぱり本当だったんだと思って」
「うん」
「あの三人の顔がすごかったの、なんでオレ達の会話を知ってるんだって顔して、みるみる顔色が変わっていったの」
「うん」
「すごいね」
「すごくないよ。全然役に立たない」
「うぅんそんなことない。ねぇゴンスケ、人と繋がれるってどんな感じなの?」
「そうだね、夢を見ている感じに近いかな」
「へぇ、あの感じかぁ」
「テレビを見ている感じも近いよ」
「わかるような、わからないような…」
「そうだよね」
「ゴンスケのその能力、いつ気がついたの?」
「あぁそれはね、小学生の時」
「何かきっかけがあったの?」
「うん。それまでは僕が見ているのはただの夢だと思ってたんだ。だからその時も夢に友達のお母さんが出てきたと思って…」
 豪介は今まで誰にも話さなかったことを牧園さんに話した。
「そのお母さんは綺麗にお化粧をしていて、何かこう、綺麗な服も着ていた。今思えば大胆な服だったよ。胸のところがこんな風に開いてて。僕が繋がった人と二人で食事をしていて、楽しそうにケラケラ笑ってた。そのあと車に乗って、今思えばエッチなホテルに入っていったんだ…。僕が見たのはそこまでだったんだけど、そのことを次の日に学校で話しちゃったんだ。夢だと思ってたからさぁ。担任の先生に、先生が昨日友達のお母さんと食事した夢を見ましたって。こうしてこうしてって事細かに。そしたら先生の顔色が変わって、「嘘をつくな」って急に殴られて。そのあと大問題になったんだ。先生が生徒を殴ったから。それで先生はいなくなるし、友達もそのことを父親と母親に話して…。数ヶ月して結局離婚して引っ越しちゃって。子ども心に何かとんでもないことをしたなって気がして。その時初めて気がついたんだ、僕が見ているのは夢じゃないって。だからあんなことになったんだって」
「そう…」