忠彦はなぜ徳乃真の秘密をメアリーにバラすようなことをしたのか? しかもどうやって徳乃真の秘密を知ったのか? あのプライドの高い徳乃真が忠彦に話したとは考えにくい。それじゃ、一体どうやって・・・!
ゆかりはあることに気が付いた。
放課後、啓は園芸部の部室にやってくるといつもの通りバケツやハサミを持って花壇の手入れに向かった。啓の担当する花壇は今日もパンジーがきれいに咲いていた。そのパンジーの花の中に赤い鳥が立っていた。
啓は草を抜いて、枯れた花としおれた葉っぱをハサミで切って綺麗にし、水をたっぷりかけていく。部活をしていない生徒が次々帰っていくが、啓を気にするものはいない。また啓も帰っていく生徒を気にはかけない。そうやって時間をかけながら手入れをしていると陽が傾き、ずいぶん影が伸びてきた。ふと生徒が途切れた。
啓は赤い鳥を引き抜き、その下に埋まっているカプセルを掘り出す。
「教えて欲しいことがあるの」
突然の声に啓はビクッとした。心臓が痛いほど飛び跳ねる。誰もいなかったはずだ、確かに確認した。カプセルを取り出すときは細心の注意を払っている。それなのに、それなのに、どうして声がした? 啓は周りを見回す。誰もいない。何かの勘違いだったのか? でも、確かに声が聞こえた。
「そのカプセルには何も入ってないわよ」
そう言いながら学校の塀が作る暗く濃い陰の中からゆかりが現れた。同時に暗い陰がほんの少し薄くなった。
「えっ! えっ? えっ!」ただの陰ならそこに人がいてもわかるはずだ。でも今までそこにあった陰は普通の陰ではなかったことに気づいた。
「赤い鳥の啓君に教えてほしことがあるの?」
「今、どうやったの?」
「啓君が、あたしの質問に答えたら教えてあげる」
啓はゆかりの真剣な眼差しを受けた。
『僕はこの時を待っていた。僕はゆかりさんと話ができる時を待っていた。話せばきっと僕の力をへぇ、すごいって言ってくれる。そして僕もゆかりさんの力を知る。へえ、すごい。そして二人は友達になる。そうだ、僕はこの時を待っていたんだ』
「徳乃真君の秘密を掴んだのは啓君なのね」
啓は小さくうなづく。
「その情報を忠彦君に渡したの?」
「知らない。僕はここでカプセルのやり取りをするだけだから」
ゆかりはあることに気が付いた。
放課後、啓は園芸部の部室にやってくるといつもの通りバケツやハサミを持って花壇の手入れに向かった。啓の担当する花壇は今日もパンジーがきれいに咲いていた。そのパンジーの花の中に赤い鳥が立っていた。
啓は草を抜いて、枯れた花としおれた葉っぱをハサミで切って綺麗にし、水をたっぷりかけていく。部活をしていない生徒が次々帰っていくが、啓を気にするものはいない。また啓も帰っていく生徒を気にはかけない。そうやって時間をかけながら手入れをしていると陽が傾き、ずいぶん影が伸びてきた。ふと生徒が途切れた。
啓は赤い鳥を引き抜き、その下に埋まっているカプセルを掘り出す。
「教えて欲しいことがあるの」
突然の声に啓はビクッとした。心臓が痛いほど飛び跳ねる。誰もいなかったはずだ、確かに確認した。カプセルを取り出すときは細心の注意を払っている。それなのに、それなのに、どうして声がした? 啓は周りを見回す。誰もいない。何かの勘違いだったのか? でも、確かに声が聞こえた。
「そのカプセルには何も入ってないわよ」
そう言いながら学校の塀が作る暗く濃い陰の中からゆかりが現れた。同時に暗い陰がほんの少し薄くなった。
「えっ! えっ? えっ!」ただの陰ならそこに人がいてもわかるはずだ。でも今までそこにあった陰は普通の陰ではなかったことに気づいた。
「赤い鳥の啓君に教えてほしことがあるの?」
「今、どうやったの?」
「啓君が、あたしの質問に答えたら教えてあげる」
啓はゆかりの真剣な眼差しを受けた。
『僕はこの時を待っていた。僕はゆかりさんと話ができる時を待っていた。話せばきっと僕の力をへぇ、すごいって言ってくれる。そして僕もゆかりさんの力を知る。へえ、すごい。そして二人は友達になる。そうだ、僕はこの時を待っていたんだ』
「徳乃真君の秘密を掴んだのは啓君なのね」
啓は小さくうなづく。
「その情報を忠彦君に渡したの?」
「知らない。僕はここでカプセルのやり取りをするだけだから」

