さすがにゆかりも忠彦を殴りつけたときの徳乃真の姿を思い出して怖さに体が震えたが、ここまで来たのだからと思い切って門扉のインターフォンを押した。
「はい、どちら様ですか?」優しい女性の声が聞こえてきた。おそらく母親だろう。インターフォンに向かって「徳乃真さんと同じクラスのゆかりと言います」と軽く自己紹介をする。しばらくすると玄関が開いて部屋着のままの徳乃真が不機嫌そうに顔を出した。
「なんだ?」
ゆかりは門扉のところで声をかける。「ちょっと教えて欲しいことがあって」
家の中から、「徳乃真、上がってもらったら」と声がした。「いいよ」とイライラを隠さずに言うと玄関ドアを閉め、サンダル履きで玄関から出てきた。さすがに自分のしでかした事の大きさに反省しているのか疲れて憔悴した顔になっている。全ては自分の思い通りになるといった自信に満ちた態度ではなくなっていた。徳乃真はゆかりのところまでくると気怠そうに家の壁にもたれかかった。
「なに?」
こんな時でも徳乃真は格好いい。寝癖のついたままの髪型も無造作ヘアに見える。ゆかりの趣味ではないが、疲れた表情すら物憂げに見え、少し憔悴して弱々しく見える姿は母性本能をくすぐりそうだ。
「忠彦君、退院するのに一月かかるみたい」
「知ってるよ」
「悪いことしたと思ってる?」
「説教しにきたのか?」
「違う」
「じゃ慰めに来たのか?」
「違う」理由はどうあれあれだけのことをしておいてこの態度にゆかりは腹が立つ。
「オレさぁ、反省文書かないといけないんだよ。お前に付き合っている暇ないんだよ」
「どうしてあんなことしたの?」
「あんなことって?」
「忠彦君に」
「・・・」
「ねぇ、どうして?」
「話すことなんてないよ」そう言うと徳乃真は話を切り上げ家に戻ろうとした。
「ねぇ、正直に本当のこと言って」
ゆかりは徳乃真の腕を取り、振り向かせた。
「なんでお前なんかに・・・」明らかに不機嫌そうにそう言って徳乃真はゆかりを見る。ゆかりはこのままでは徳乃真は何も話さないと感じた。『仕方ない。使いたくないけど・・・』と覚悟を決めてゆかりは真剣な表情で徳乃真の目をじっと見た。すると徳乃真の表情が変わり始めた。次第に怯えた顔になり、「な、なんだよ・・・」というと明らかに何かを恐れ始めた。
「はい、どちら様ですか?」優しい女性の声が聞こえてきた。おそらく母親だろう。インターフォンに向かって「徳乃真さんと同じクラスのゆかりと言います」と軽く自己紹介をする。しばらくすると玄関が開いて部屋着のままの徳乃真が不機嫌そうに顔を出した。
「なんだ?」
ゆかりは門扉のところで声をかける。「ちょっと教えて欲しいことがあって」
家の中から、「徳乃真、上がってもらったら」と声がした。「いいよ」とイライラを隠さずに言うと玄関ドアを閉め、サンダル履きで玄関から出てきた。さすがに自分のしでかした事の大きさに反省しているのか疲れて憔悴した顔になっている。全ては自分の思い通りになるといった自信に満ちた態度ではなくなっていた。徳乃真はゆかりのところまでくると気怠そうに家の壁にもたれかかった。
「なに?」
こんな時でも徳乃真は格好いい。寝癖のついたままの髪型も無造作ヘアに見える。ゆかりの趣味ではないが、疲れた表情すら物憂げに見え、少し憔悴して弱々しく見える姿は母性本能をくすぐりそうだ。
「忠彦君、退院するのに一月かかるみたい」
「知ってるよ」
「悪いことしたと思ってる?」
「説教しにきたのか?」
「違う」
「じゃ慰めに来たのか?」
「違う」理由はどうあれあれだけのことをしておいてこの態度にゆかりは腹が立つ。
「オレさぁ、反省文書かないといけないんだよ。お前に付き合っている暇ないんだよ」
「どうしてあんなことしたの?」
「あんなことって?」
「忠彦君に」
「・・・」
「ねぇ、どうして?」
「話すことなんてないよ」そう言うと徳乃真は話を切り上げ家に戻ろうとした。
「ねぇ、正直に本当のこと言って」
ゆかりは徳乃真の腕を取り、振り向かせた。
「なんでお前なんかに・・・」明らかに不機嫌そうにそう言って徳乃真はゆかりを見る。ゆかりはこのままでは徳乃真は何も話さないと感じた。『仕方ない。使いたくないけど・・・』と覚悟を決めてゆかりは真剣な表情で徳乃真の目をじっと見た。すると徳乃真の表情が変わり始めた。次第に怯えた顔になり、「な、なんだよ・・・」というと明らかに何かを恐れ始めた。

