「停学? 退学? どっちかな」
「退学じゃねぇ?」
「忠彦君より徳乃真君が戻ってきて欲しいわよね」
「ちょっと、悪いわよ、忠彦君に」
「でも、椅子嗅いでたんでしょう、それって変態よね」
萌美はそんな話を耳にして顔を曇らせた。
「みんなひどいよね・・・」
「うん」
「昨日、誠寿君からメッセージがきたの」
「なんて?」
「よりを戻さないかって」
「ウソ」
「まだ忠彦のこと好きなのかって。あたし、好きよって答えたんだけど、そしたら誠寿、だって変態だろだって。あたし、あんなやつと付き合っていたのかと思うと悲しくて。こんな時こそ友達なら支えてあげないといけないのに」
『本当にそうだ、友達なら支えてあげないといけない。私が萌美にできること、それは真実を探ってあげることだ』
どうしてあんなことになったのか。なぜ、徳乃真はあれほどの怒りを忠彦にぶつけたのか。そのことでゆかりには気になっていたことがあった。それは徳乃真が忠彦を殴ったときのことだ。あのとき徳乃真は忠彦を殴った後に「こいつ、メアリーの椅子の匂いを嗅いでたんだ」と言い、その後「それにな、こいつ、あぁ、腹が立つ!」と言ったのだった。あのとき言おうとした「それにな」に続く言葉はなんだったのだろう? 椅子の匂いを嗅いだだけではなかったのか? あそこまで怒った原因は『それにな・・・』に続く言葉に隠されているに違いない。
先生に聞いても徳乃真の停学がいつ解けるかラチがあかず、ゆかりは直接徳乃真の家に行って話を聞く以外に方法はないと考えた。学校が終わると一旦家に帰り、小学校から帰ってきていた亮平にお留守番しておいてと言って自転車に乗って駅に向かう。そして電車に乗って三つ先の駅で降りると携帯のアプリを使って徳乃真の家を探して歩いた。夕暮れの時間徐々に影が伸びていく。
徳乃真の家は、この辺りでは裕福な人たちが住む住宅街の中にあり、その中でも周りの家よりも敷地が広く、一際大きな家だった。半地下のガレージはシャッターが降りているが、車が3台は入るような大きさで、広い庭は芝生が青々とし、花壇に雑草はなく名前も知らない花が咲き誇っていた。徳乃真の綺麗な顔立ちからお坊ちゃんなんだろうと思っていたが、その想像は当たっていたことになる。
「退学じゃねぇ?」
「忠彦君より徳乃真君が戻ってきて欲しいわよね」
「ちょっと、悪いわよ、忠彦君に」
「でも、椅子嗅いでたんでしょう、それって変態よね」
萌美はそんな話を耳にして顔を曇らせた。
「みんなひどいよね・・・」
「うん」
「昨日、誠寿君からメッセージがきたの」
「なんて?」
「よりを戻さないかって」
「ウソ」
「まだ忠彦のこと好きなのかって。あたし、好きよって答えたんだけど、そしたら誠寿、だって変態だろだって。あたし、あんなやつと付き合っていたのかと思うと悲しくて。こんな時こそ友達なら支えてあげないといけないのに」
『本当にそうだ、友達なら支えてあげないといけない。私が萌美にできること、それは真実を探ってあげることだ』
どうしてあんなことになったのか。なぜ、徳乃真はあれほどの怒りを忠彦にぶつけたのか。そのことでゆかりには気になっていたことがあった。それは徳乃真が忠彦を殴ったときのことだ。あのとき徳乃真は忠彦を殴った後に「こいつ、メアリーの椅子の匂いを嗅いでたんだ」と言い、その後「それにな、こいつ、あぁ、腹が立つ!」と言ったのだった。あのとき言おうとした「それにな」に続く言葉はなんだったのだろう? 椅子の匂いを嗅いだだけではなかったのか? あそこまで怒った原因は『それにな・・・』に続く言葉に隠されているに違いない。
先生に聞いても徳乃真の停学がいつ解けるかラチがあかず、ゆかりは直接徳乃真の家に行って話を聞く以外に方法はないと考えた。学校が終わると一旦家に帰り、小学校から帰ってきていた亮平にお留守番しておいてと言って自転車に乗って駅に向かう。そして電車に乗って三つ先の駅で降りると携帯のアプリを使って徳乃真の家を探して歩いた。夕暮れの時間徐々に影が伸びていく。
徳乃真の家は、この辺りでは裕福な人たちが住む住宅街の中にあり、その中でも周りの家よりも敷地が広く、一際大きな家だった。半地下のガレージはシャッターが降りているが、車が3台は入るような大きさで、広い庭は芝生が青々とし、花壇に雑草はなく名前も知らない花が咲き誇っていた。徳乃真の綺麗な顔立ちからお坊ちゃんなんだろうと思っていたが、その想像は当たっていたことになる。

