オナラはなんでも知っている

「やめなさい!」ゆかりは徳乃真の横暴に我慢できなくなって立ち上がった。なんとか自分の力を使って徳乃真を止められないかと思うが、こんなに怒っている徳乃真では自分の力が役に立つとも思えない。それに、みんなが揃っている教室内ではさすがに力を使うわけにはいかない。「徳乃真君!」ゆかりは徳乃真に呼びかけ必死に止めようとするが、どうにもならない。
 徳乃真はそのまま力任せに忠彦のベルトを剥ぎ取っていく。
「やめろよ、やめろよ!」忠彦も必死に抵抗するが、徳乃真との体格差がありすぎ、しかも殴られ心が負けてしまっている忠彦には徳乃真を跳ね返すだけの力がなかった。
「やめろよ、英治、誠寿、陽介・・・助けて・・・」忠彦は友達の名を叫び助けを求めるが、名前を呼ばれた英治たちも動けずにいる。
「英治、英治・・・」忠彦は一番の友達の名前を呼び続ける。
 英治は自分の名前が聞こえたが、どうしていいか分からなかった。背が低く、力もなく、喧嘩なんて今まで一度もしたことがない、今忠彦を助けにいこうとしても徳乃真に叶うわけがない。忠彦は友達だけど・・・、助けられない・・・、助けられない・・・。
 徳乃真がベルトを持った右手を力一杯引っ張ると忠彦のベルトがズボンから外れた。徳乃真がそれを放り捨てると、顔の近くにベルトが飛んできた女子が小さな悲鳴をあげた。さらに徳乃真は忠彦のズボンに手をかけ思いっきり左右に引っ張る。バリッバリッという音とともにチャックが壊れズボンが引き裂かれる。徳乃真はそのまま力任せにどんどんズボンを引きちぎっていく。紫苑が後ろから徳乃真を止めようと羽交い締めにするのだが、徳乃真の力に跳ね飛ばされ床に転がってしまった。『もうダメだ、こいつを止めることはできない。あとは知らない、自分の責任で好きにすればいい』紫苑も徳乃真を止めることをあきらめた。
 紫苑の押さえつけがなくなり体が自由になった徳乃真は再度忠彦の破れたズボンに手をかけ力任せに剥ぎ取ると、大股で窓のところまでやってきて、その窓を開けると3階から外に投げ捨ててしまった。
 周りにいた女子も男子もそこまでしなくてもと思っているのだが、あの怒りが自分に向いてくると思うと怖くて声もかけられない。倒れたままの忠彦はパンツ一枚の姿になって両手で股間を押さえて泣き始めた。