オナラはなんでも知っている

 陽介は夜両親が寝静まるとパソコンを開いた。もう一度耳をすまし寝ているかどうかを確認し、この時間が自分のものだと確信する。陽介はパソコンをネットにつなぎ、検索でパンティー、盗撮、画像と入力する。もしものために音量を切った後、検索ボタンをクリックすると大量の盗撮画像が現れた。実物のパンティーを見る機会は少ないが、ネットにはたくさんの盗撮画像が溢れていて陽介の欲望を満たしてくれた。身体中の血液が激しく流れる感覚を味わい、喜びのあまり手が微かに震える。痺れるような興奮に喉が乾く。一枚一枚じっくりと眺め、その中から気に入ったものを保存していく。写っている女性の顔は関係ない、パンティーが見えるか見えないかが問題で、しかも見えれば見えるほどいい。階段を上がる女性、電車の中で足が開いている女性、公園でしゃがんでいる女性、エスカレーターを登っている女性、スーパーで食品を選んでいる女性。いろんな状況といろんなパンティーを選んでいく。水玉、キャラクター、花柄、Tバック、スケスケ。ある程度写真が溜まるとそれをお気に入りのフォルダに入れる。次に陽介は別のフォルダを開き写真を一枚クリックした。画面に大きく現れたのは授業中に盗み撮りしたメアリーの写真だった。その写真からメアリーの顔の部分だけを丁寧に、時間をかけて切り取っていく。自分でも満足のいく切り取り方ができると、先ほどの盗撮画像の数枚の写真を取り出して、メアリーの顔だけの写真を貼り付ける。大きさを調整して、角度を調整して、輪郭をぼかし、首と色を合わせて元の写真の体になじむように加工する。1時間かけてやっと一枚の写真が完成した。そしてまた次の合成、そしてまた次の合成。
 メアリーが電車に乗って水玉のパンティーを見せている。
 メアリーが階段を登って紫のパンティーを見せている。
 メアリーがしゃがみ込んでスケスケのパンティーを見せている。
 全て同じ顔のメアリーのパンティー写真が次々と出来上がっていく。今度は出来上がった写真をパソコン画面にコラージュしていく。やがてパソコン画面がメアリーのパンティー写真で埋め尽くされると、陽介は飽きることなくその写真を眺め続けた。
 だが、所詮これは偽物の写真で本物ではない。どうしてもどうにかしてメアリーの本物がみたい。本物のパンティー写真が欲しい。その欲望で頭がいっぱいになる。