『うん。それで相談なんだけど、誠寿がまだ萌美さんのこと好きなんだ。だから誠寿になんて言ったらいいのかわからなくて、英治だったら頭いいからさ、何かアドバイスがもらえるんじゃないかと思って』
　そんなことだったのか、そんな、そんなことか。知るかよそんなこと、勝手に考えろよ。馬鹿かお前は、なんで俺がそんなこと考えないといけないんだよ。なんで俺がお前なんかのためにそんなこと考えないといけないんだよ、勝手にしろよ！　と思いながら、
　『それはまずいだろう』とメッセージを送る。
『そうなんだ、あまり誠寿を傷つけないような言い方ってなんかないかな？』
　あるわけねぇだろ、くそが。と思いながら、
　『正直にいうしかないんじゃない』とメッセージを送る。
『なんか、言い方とかあるかな？』
　こいつはバカだ。こいつはバカだ。こいつはバカだ。こいつはバカだ。と心の中で罵倒しながら、
　『言い方なんてないよ。思い切って話すしかないじゃん』英治は忠彦を見放したつもりでこうメッセージを送ったが、忠彦はそれを素直で的確なアドバイスとして受け取った。
『英治ありがとう。そうだよね、思い切って話すしかないよね。こんな相談できるの英治しかいないからさぁ。よし、誠寿に話してみる』
　誠寿が萌美と付き合って、今度は忠彦が萌美と付き合う。彼女のいないのは変態の陽介と自分だけなんて・・・。誰か、誰か、自分を好きになってくれる人はいないのか、頭がいい自分を好きだと内心思っている人はいないのか・・・。誰もでいい、誰でもいいから、僕のことを好きな人は・・・。
　かすかに声が聞こえた。
「英治君て頭がいいのね」確かにそう言った。あの時メアリーは自分を見てそう言ったのだ。あの時のメアリーの香りも蘇る。とても、とてもいい香りだった。
「私、頭の良い人が好き」・・・「お試しだけどね」・・・次から次へと蘇ってくるメアリーの言葉は英治の頭の中で、都合のいい解釈となって構築されていく。
「英治君、私本当は、英治君みたいな頭のいい人が好きよ・・・」メアリーが自分に向かって微笑んでいる。

４月１８日　月曜日