忠彦は自分をバカだと思った。こんなことを聞いたらダメだ。聞いたらダメなのに、俺はなんで聞いてしまったんだ。
「あぁ、好きなんだよ」
そんなことを聞いたらますます話せなくなってしまう。誠寿の気持ちなんか確認せず、自分の気持ちを先に話すべきだった。誠寿の気持ちを知ってしまったら「萌美と付き合いたいと思ってる」なんて言いづらい。しかも、萌美から好きだって言われたなどもっと言いづらい。
「こんなこと相談できるの忠彦ぐらいなんだよ。陽介はそんな相談できるようなやつじゃないし。英治は、ほら、頭はいいけど、こういうことはちょっと、だろ。だから忠彦しかいないんだよ。頼むよ」
「いや、俺もそういうのは苦手だからなぁ・・・」
「なぁ、助けになってくれよ」
大通りのところまで来ると本当はもっと何か言いたそうだったが、忠彦が何も言わなかったので誠寿もそれ以上口を開くことはなく、「じゃあな」と言って大通りを右に折れて行ってしまった。忠彦が見ても誠寿の肩は落ち、下を向いているのがわかった。
「困ったなぁ・・・」
忠彦は一人で帰りながら、『どうしたらいいんだろう』という言葉だけが頭の中を巡っていた。何もいい考えが浮かばなすぎてどうしたらいいんだろうという言葉だけが頭の中で空転している。すると突然声をかけられた。
「忠彦君」
忠彦がビクッとして振り返ると、嬉しそうな萌美が立っていた。
「萌美さん」なんという心の嵐だろう、さっきまでは誠寿の悲しそうな顔を見ていて、今はにこやかに笑う萌美の顔を見ている。心に嵐が吹き荒れたように感情が右から左に大きく動かされ、頭の理解が追いつかない。
「一緒に帰ろう」
「うん」
「ねぇ、もしかして今の誠寿君だった?」
「あっ、うん」
「何か言ってた?」
「うん、まぁね」
なんだかはっきりしない忠彦を心配して萌美は「・・・もしかして迷惑だった?」と聞いた。
「何が?」
「私が忠彦君のこと好きって言ったこと」
「そんな、迷惑なもんか」
「だったらよかった。嬉しい」
「僕だって」
「両想いだね」
「あっ、うん」忠彦は萌美から両想いだねと言われ心がふわふわと飛び立ちそうになる。やっと萌美といることに頭の理解が慣れてきた。そうだった、僕たちは両想いだった。そして今二人で一緒に帰っている。ちらっと萌美を見ると、ニコニコして一緒に歩いていた。
「あぁ、好きなんだよ」
そんなことを聞いたらますます話せなくなってしまう。誠寿の気持ちなんか確認せず、自分の気持ちを先に話すべきだった。誠寿の気持ちを知ってしまったら「萌美と付き合いたいと思ってる」なんて言いづらい。しかも、萌美から好きだって言われたなどもっと言いづらい。
「こんなこと相談できるの忠彦ぐらいなんだよ。陽介はそんな相談できるようなやつじゃないし。英治は、ほら、頭はいいけど、こういうことはちょっと、だろ。だから忠彦しかいないんだよ。頼むよ」
「いや、俺もそういうのは苦手だからなぁ・・・」
「なぁ、助けになってくれよ」
大通りのところまで来ると本当はもっと何か言いたそうだったが、忠彦が何も言わなかったので誠寿もそれ以上口を開くことはなく、「じゃあな」と言って大通りを右に折れて行ってしまった。忠彦が見ても誠寿の肩は落ち、下を向いているのがわかった。
「困ったなぁ・・・」
忠彦は一人で帰りながら、『どうしたらいいんだろう』という言葉だけが頭の中を巡っていた。何もいい考えが浮かばなすぎてどうしたらいいんだろうという言葉だけが頭の中で空転している。すると突然声をかけられた。
「忠彦君」
忠彦がビクッとして振り返ると、嬉しそうな萌美が立っていた。
「萌美さん」なんという心の嵐だろう、さっきまでは誠寿の悲しそうな顔を見ていて、今はにこやかに笑う萌美の顔を見ている。心に嵐が吹き荒れたように感情が右から左に大きく動かされ、頭の理解が追いつかない。
「一緒に帰ろう」
「うん」
「ねぇ、もしかして今の誠寿君だった?」
「あっ、うん」
「何か言ってた?」
「うん、まぁね」
なんだかはっきりしない忠彦を心配して萌美は「・・・もしかして迷惑だった?」と聞いた。
「何が?」
「私が忠彦君のこと好きって言ったこと」
「そんな、迷惑なもんか」
「だったらよかった。嬉しい」
「僕だって」
「両想いだね」
「あっ、うん」忠彦は萌美から両想いだねと言われ心がふわふわと飛び立ちそうになる。やっと萌美といることに頭の理解が慣れてきた。そうだった、僕たちは両想いだった。そして今二人で一緒に帰っている。ちらっと萌美を見ると、ニコニコして一緒に歩いていた。

