オナラはなんでも知っている

「ねぇ、何々、健太郎、ちょっと」愛美は話していることが気になって口を挟んだ。
「何?」と男子たちが振り向く。振り向いた三人はそこに女子がいたことに驚き、自分たちがデリカシーのないことを言っていたことを恥じた。
「うわぁいたのかよ」健太郎も愛美を認めてびっくりする。
「ちょっと健太郎、今の話教えなさいよ」
「えっ? 愛美の方が知ってるだろう、徳乃真と同じクラスなんだから」
「知らないわよ。だから教えなさいよ」
「えっ・・・、なんか言いにくいなぁ・・・」
「いいから、変態な話してたでしょう。教えなさいよ」と愛美が強く言うと健太郎は表現をオブラートに包みながらも徳乃真が男子の前で言っていたことを教えた。
「マジかぁ・・・。なんで男子ってそんなに変態なのよ」
「俺が言ったんじゃないよ」
「ウキウキして話してたじゃない、一緒よ」と言うと愛美はプリプリしてその場を立ち去った。全くこの男子の変態っぷりはどうしたものだろう。愛美は助平な男子の変態っぷりに腹が立って腹が立って仕方がなかった。
『このままじゃいけない・・・』

 啓は授業が終わると園芸部の部室に移動した。早く帰ってお昼ご飯を食べたかったが、花壇の手入れだけはしておかなければならない。
 啓は揃えた道具を持って校庭を横切り、校舎の脇を通り、同じ2年生の園芸部の部員に挨拶をして正門に向かう。今日もまだパンジーがきれいに咲いている。先日引っこ抜かれ植え直したパンジーもなんとか枯れずにすんでいた。パンジーはきちんと手入れをしていればまだ二ヶ月ぐらいは花を楽しむことができそうだった。
 そのパンジーの中に赤い鳥が立っていた。
 啓は赤い鳥を外した。
 その後、丁寧に雑草を取り、枯れたパンジーの花や葉を取り除いていく。作業をしながら正門から出てくる人がいないかチラチラ眺めた。しばらく人が出てこないタイミングで、手際よくカプセルを取り出す。
 啓はそのカプセルをポケットの中に入れると掘った穴を元に戻し、軽く土をならすとジョウロでたっぷり花に水をやり作業を終えた。
 部室に戻ると先に戻ってきていた女子部員たちがダベっている最中だった。その女子部員に挨拶をして部室を出る。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様」