萌美は夕食の時も心ここに在らずだった。昼は黄色のカプセルが気になってお弁当が食べられなかったが、この時間は早く告白したくて夕食どころではなかった。告白しようと決めた学校帰りからドキドキしてしまいどうにも落ち着かない。相手の忠彦の気持ちがすでにわかっているからこそ、早く告白して自分の気持ちを楽にしてあげたいと思う。いつもよりもずいぶん早く簡単に夕食を済ませると、母親から「何ニヤケちゃって、いいことでもあったの?」と尋ねられた。家族は敏感だ、普段とは違う些細な変化で機嫌がいいのか悪いのかわかってしまう。『今からいいことがあるの』とは言えず、「別に」とだけ言ってすぐに自分の部屋に戻った。「さぁ」と自分に掛け声をかけ携帯を手に取り、「あっ」と思い出す。その前にやらなければいけないことがあった。すぐに部屋を飛び出る。
「今日は、あたしが先にお風呂に入るからね」とまだ夕食中の家族に宣言してお風呂場に行く。脱衣場の作りつけの戸棚の中から家族には絶対に使わせない、ここぞという時用に買っておいたとてもいい香りのお気に入りの入浴剤を持って風呂場に入る。まずは軽く湯船に浸かっていったんお湯から上がると、ボディーソープで体の隅々まできれいに洗い、髪も時間をかけて丁寧に洗った。最後にゆっくり湯船に体を沈め、とっておきの入浴剤を入れて気分を落ち着かせる。やはり、携帯を使うとはいえ告白の前は身体を綺麗にしておきたい。額にうっすら汗が浮かんできたところでお風呂を出た。鏡に映った自分を見て、スタイルの良さに自信を持つ。バスタオルで全身を拭いて髪の毛を丁寧に乾かし、パジャマに着替えてお風呂場から出ると「集中して勉強したいから、ローズティーを入れて」と母親に声をかけ、一旦部屋に行く。散らかっている部屋を片付け、ベッドの脇に小さなテーブルを置いて、玄関に走り、花瓶に飾ってあった花からピンクのガーベラを一本抜き取り台所でコップに水を入れそこに刺す。そしてローズティーも持って「それじゃ、勉強だから声をかけないでね」と家族に伝え、自分の部屋に戻った。
さぁ、いよいよだ。
自分の体から微かに漂う入浴剤の香りが心を落ち着かせてくれる。心と体と部屋の準備は整った。最後に机に飾られている徳乃真の写真を倒して気持ちを忠彦に集中させると携帯を持った。萌美の手はかすかに震えた。
「今日は、あたしが先にお風呂に入るからね」とまだ夕食中の家族に宣言してお風呂場に行く。脱衣場の作りつけの戸棚の中から家族には絶対に使わせない、ここぞという時用に買っておいたとてもいい香りのお気に入りの入浴剤を持って風呂場に入る。まずは軽く湯船に浸かっていったんお湯から上がると、ボディーソープで体の隅々まできれいに洗い、髪も時間をかけて丁寧に洗った。最後にゆっくり湯船に体を沈め、とっておきの入浴剤を入れて気分を落ち着かせる。やはり、携帯を使うとはいえ告白の前は身体を綺麗にしておきたい。額にうっすら汗が浮かんできたところでお風呂を出た。鏡に映った自分を見て、スタイルの良さに自信を持つ。バスタオルで全身を拭いて髪の毛を丁寧に乾かし、パジャマに着替えてお風呂場から出ると「集中して勉強したいから、ローズティーを入れて」と母親に声をかけ、一旦部屋に行く。散らかっている部屋を片付け、ベッドの脇に小さなテーブルを置いて、玄関に走り、花瓶に飾ってあった花からピンクのガーベラを一本抜き取り台所でコップに水を入れそこに刺す。そしてローズティーも持って「それじゃ、勉強だから声をかけないでね」と家族に伝え、自分の部屋に戻った。
さぁ、いよいよだ。
自分の体から微かに漂う入浴剤の香りが心を落ち着かせてくれる。心と体と部屋の準備は整った。最後に机に飾られている徳乃真の写真を倒して気持ちを忠彦に集中させると携帯を持った。萌美の手はかすかに震えた。

