「英治やめろって」
「こっち見ないね」
「見ないよ」
「萌美の胸おっきいよね」
「知らないよ」
「ほら、見てみろよ。おっきいじゃん」英治はニヤつきながら誠寿をからかうように言うのだが、誠寿は面白くなさそうに応えるだけだった。
「そうかよ」
「いいよなぁ・・・。誠寿」
 別の席では、陽介が机に突っ伏して徳乃真に意識を向けている女子を一人一人眺めながら、『パンツが見えそう』と隙のある女子を見つけては見えそうで見えないスカートの中をじっと見てチャンスを窺っていた。
「陽介、やめろって、気付かれるよ」そんな陽介を忠彦が注意する。
「大丈夫だよ、みんな徳乃真に意識が集中してるんだから。今なら見放題なんじゃねぇ。あっ、ほら、見えそうだよ、俺、このクラスでよかった。徳乃真のおかげだよ」
「見てるのが女子からわかるって」
「平気だって。みんな徳乃真に夢中なんだから」と言って陽介は見えそうな女子を探すのに余念がない。しかも陽介の言った通り、女子のほとんどは徳乃真に意識が集中していて、誰も陽介がパンツを見ようとしていることに気がつかない。
「あれ。あっ、萌美だ」陽介が徳乃真をうっとり見ている萌美を見つけた。
「やめろって、萌美はまずいって、バレるって」
「忠彦もみろよ、ほら、見えそうだって、ほら」
「いいよ」陽介から誘われても忠彦は萌美を見ようとしなかった。本当は忠彦だって見たい気持ちはあるが、萌美は誠寿の彼女だ、さすがに友達の彼女のパンツを見るわけにはいかない。
「陽介、誠寿に悪いって」
「大丈夫だって、見るぐらい」
「よくないよ。誠寿が知ったらいい気持ちがしないだろう」
「萌美っておっぱいでかいよなぁ。いいなぁ、誠寿はもう見てるのかな・・・」陽介は忠彦からたしなめられても萌美のスカートの中を注視したり、おっぱいのふくらみを見ることに集中している。見るに見かねて忠彦は誠寿のもとにいく。
「誠寿、陽介が萌美のことばっかり見てるよ、お前ちょっと注意してやれよ」
「・・・」
 忠彦は、誠寿はきっといい気持ちがしないだろうと思って伝えにきたのだが、それに対して誠寿は何も言わなかった。それどころか思い詰めた顔になってため息をついた。忠彦が誠寿に告げ口をしていることを察した陽介もやってきた。
「いいだろう、見るぐらい。なぁ誠寿」
「あぁ」