このままでは今度はゆかりが危なくなる。啓は自分をかばってくれたゆかりをなんとか守らないといけない。そう思った。思ったがびびってしまって尻餅をついたまま体が動かない。啓はゆかりを見た。ゆかりは男たちを見据えていた。その目に恐怖はない。それどころか、それどころか・・・。ゆかりには余裕すら感じられた。
『もしかして今から助けが来るのか、柔道部のみんなが来るのか、先生が来るのか、そういうことなのか?』だが、助けが来るような気配はない。どうしてゆかりはこんなにも堂々としていられるのか・・・。
さらに男たちがゆかりに近づく。
ゆかりが前の男をきっと見据えて口を開いた。
「あんた、股間が滲みてるよ」
『何を言ってるんだこの人は、それとも俺の聞き間違いなのか』啓は戸惑った。
啓だけではない、この男たちも戸惑った。
「何言ってんだ、お前」
すると、ゆかりはもう一度同じことを言った。
「あんた、股間が滲みてるよ」
『ゆかりはバカなのか?』啓はゆかりの真意が全くわからなかった。
それでもゆかりは堂々としている。そしてゆかりの右手がゆっくりと上がり、この学校の先輩だという男の股間を指差した。その姿があまりにも堂々としていたので、柄の悪い男たちも啓も指差された男の股間を見た。すると、その男の股間に黒いシミが浮き出ていた。500円玉ほどのシミは見る見るうちに広がり、大きくなっていく。それを見ていた男たちは、
「ウワァ、」
「お前!」
「ウソだろ!」と股間にシミを作った男から離れた。
シミを作った当の本人も自分の股間を見てびっくりしている。
「ウワァ、なにこれ、あれ? ウソだろ、あれ?」
そうこうしている間にもシミはどんどん広がり、もはや股間の周りは大きな黒い染みとなり、太腿からさらに膝近くにまで及んだ。染みを作った男は信じられない様子で「あれ、あれ」と言って股間を手で抑えたり、ズボンを引っ張ったりしている。自分でも何が起こったのかわからず、半泣きの顔になり、さっきまで威張っていた勢いはなくなった。
「クッセー」
「こいつ漏らしやがったぜ」
「寄るな!」
「寄るな!」とゲラゲラ笑って二人の男はシミを作った男を置き去りにして走りだした。
「待ってくれよ、置いてかないでくれ」ズボンにシミを作ったその男も二人の男を追っていく。もう啓のこともゆかりのことも眼中になった。
『もしかして今から助けが来るのか、柔道部のみんなが来るのか、先生が来るのか、そういうことなのか?』だが、助けが来るような気配はない。どうしてゆかりはこんなにも堂々としていられるのか・・・。
さらに男たちがゆかりに近づく。
ゆかりが前の男をきっと見据えて口を開いた。
「あんた、股間が滲みてるよ」
『何を言ってるんだこの人は、それとも俺の聞き間違いなのか』啓は戸惑った。
啓だけではない、この男たちも戸惑った。
「何言ってんだ、お前」
すると、ゆかりはもう一度同じことを言った。
「あんた、股間が滲みてるよ」
『ゆかりはバカなのか?』啓はゆかりの真意が全くわからなかった。
それでもゆかりは堂々としている。そしてゆかりの右手がゆっくりと上がり、この学校の先輩だという男の股間を指差した。その姿があまりにも堂々としていたので、柄の悪い男たちも啓も指差された男の股間を見た。すると、その男の股間に黒いシミが浮き出ていた。500円玉ほどのシミは見る見るうちに広がり、大きくなっていく。それを見ていた男たちは、
「ウワァ、」
「お前!」
「ウソだろ!」と股間にシミを作った男から離れた。
シミを作った当の本人も自分の股間を見てびっくりしている。
「ウワァ、なにこれ、あれ? ウソだろ、あれ?」
そうこうしている間にもシミはどんどん広がり、もはや股間の周りは大きな黒い染みとなり、太腿からさらに膝近くにまで及んだ。染みを作った男は信じられない様子で「あれ、あれ」と言って股間を手で抑えたり、ズボンを引っ張ったりしている。自分でも何が起こったのかわからず、半泣きの顔になり、さっきまで威張っていた勢いはなくなった。
「クッセー」
「こいつ漏らしやがったぜ」
「寄るな!」
「寄るな!」とゲラゲラ笑って二人の男はシミを作った男を置き去りにして走りだした。
「待ってくれよ、置いてかないでくれ」ズボンにシミを作ったその男も二人の男を追っていく。もう啓のこともゆかりのことも眼中になった。

