忠彦はさっきから会話に入ってこない誠寿のことが気になった。そう言えば、ここ最近誠寿は元気がない。忠彦が思い返してみると、2年生になってから元気がないように感じる。今も、三人の後ろをとぼとぼと歩いているだけだ。
「誠寿、どうしたの?」忠彦が誠寿に声をかけた。前を歩いていた英治と陽介もその声に歩みを止めて後ろを振り替える。
「どうしたの?」と英治が立ち止まった忠彦に聞く。
「いや、最近誠寿元気がない気がするんだ。何かあったのかと思って」
「誠寿、何かあったの?」英治も気になったのか誠寿に聞いた。
誠寿は言うべきか、どうするか迷っている風だったが、「実は、俺さぁ」と言い出した。「黙ってたんだけど」
「何、どうしたの?」誠寿の思い詰めた顔を気にして英治が先を促した。
「俺、萌美と別れたんだ」
「えっ!」三人が同じように小さな声でびっくりした。
「どうして?」
「いつだよ?」
「ふられたのか?」三人が思い思いに質問を投げつける。
「春休み。2年生になる前」
「えぇ、本当? 知らなかった」英治はそう言うと、道の端に誠寿を引っ張った。後ろからくる生徒を気にして声を落として聞いていく。「どうして別れたの?」
「萌美からもう付き合えないって言われたんだ」
「どうして?」陽介も興味津々と言う顔で聞いてくる。
「他に好きな人でもできたのかと思ったんだけど、そうじゃないみたいで。理由はよくわからないんだ」
「そうか・・・」
「まだ誰にも言ってなかったんだ。もしかしたら元に戻るかもしれないと思ってさ。もしかしたらそうなるかもしれないんだ・・・」
みんなが黙ってしまった。高校生にとって一番の関心ごとは誰が誰と付き合って誰と別れたかに尽きる。それは英治たちのグループでも同じだった。英治たち4人の中で彼女がいるのは誠寿だけだったから尚更だ。しかも英治、忠彦、陽介にとってこれは誠寿だけの問題ではなく、自分たち全体に関わる問題でもあった。自分たちのグループに彼女のいる奴がいる。それは本人だけでなく自分たちのランクも押し上げることになる。しかも『誠寿の彼女の萌美からいつか友達を紹介してもらえるのではないか』そんな期待もしていた。英治も、忠彦も、陽介もまだ女子と付き合ったことがない。女子と付き合って・・・、
『夜寝る前におやすみを言い合う』
『一緒に帰る』
『休みの日にデートする』
『手をつなぐ』
「誠寿、どうしたの?」忠彦が誠寿に声をかけた。前を歩いていた英治と陽介もその声に歩みを止めて後ろを振り替える。
「どうしたの?」と英治が立ち止まった忠彦に聞く。
「いや、最近誠寿元気がない気がするんだ。何かあったのかと思って」
「誠寿、何かあったの?」英治も気になったのか誠寿に聞いた。
誠寿は言うべきか、どうするか迷っている風だったが、「実は、俺さぁ」と言い出した。「黙ってたんだけど」
「何、どうしたの?」誠寿の思い詰めた顔を気にして英治が先を促した。
「俺、萌美と別れたんだ」
「えっ!」三人が同じように小さな声でびっくりした。
「どうして?」
「いつだよ?」
「ふられたのか?」三人が思い思いに質問を投げつける。
「春休み。2年生になる前」
「えぇ、本当? 知らなかった」英治はそう言うと、道の端に誠寿を引っ張った。後ろからくる生徒を気にして声を落として聞いていく。「どうして別れたの?」
「萌美からもう付き合えないって言われたんだ」
「どうして?」陽介も興味津々と言う顔で聞いてくる。
「他に好きな人でもできたのかと思ったんだけど、そうじゃないみたいで。理由はよくわからないんだ」
「そうか・・・」
「まだ誰にも言ってなかったんだ。もしかしたら元に戻るかもしれないと思ってさ。もしかしたらそうなるかもしれないんだ・・・」
みんなが黙ってしまった。高校生にとって一番の関心ごとは誰が誰と付き合って誰と別れたかに尽きる。それは英治たちのグループでも同じだった。英治たち4人の中で彼女がいるのは誠寿だけだったから尚更だ。しかも英治、忠彦、陽介にとってこれは誠寿だけの問題ではなく、自分たち全体に関わる問題でもあった。自分たちのグループに彼女のいる奴がいる。それは本人だけでなく自分たちのランクも押し上げることになる。しかも『誠寿の彼女の萌美からいつか友達を紹介してもらえるのではないか』そんな期待もしていた。英治も、忠彦も、陽介もまだ女子と付き合ったことがない。女子と付き合って・・・、
『夜寝る前におやすみを言い合う』
『一緒に帰る』
『休みの日にデートする』
『手をつなぐ』