「大学生はやっぱり有名大学が勝つよ。社会に出たら顔が良くても評価されない人間なんてごまんといるじゃないか。高校までだよ顔が良くてちやほやされるのは」
「まあね」陽介が英治の言葉に同意する。
「徳乃真なんてバカじゃん。今のうちだけだよ」
「そうだな、でも、今はやりたい放題だよなぁ」
「なんだよそれ?」
「ちょっと見せてって言ったら絶対に見せてもらえるに決まってんだぜ」
「そんなに見たいのかよ」英治は呆れながら陽介に聞いた。
「見たいよ」
 英治も本当は見たかった。もしかしたら誰よりも見たいのかもしれない。だが、陽介のようにこんなふうにみんなの前では言えない。英治は陽介の純粋ないやらしさが羨ましと思った。
「陽介、盗撮だけはやめろよ」忠彦が言うとその場の空気が一瞬ピリッとした。
「しないよ」陽介はニヤニヤして答える。

 実は、陽介は1年生の時、女子が階段を登る姿を隠しカメラで撮影していたことがあった。当時、陽介の行動が不自然でそのことに気がついた何人かの女子の間で盗撮疑惑が持ち上がった。
「ねぇ、陽介君、あなた私たちを盗撮してるんじゃないの?」
「その鞄見せなさいよ」
「この前も私たちの後ろからついてきてたでしょう」
 だがこの時はダンマリを決め込んだ陽介をそれ以上追求できずに終わり、それでも一番の被害にあっていた萌美が納得できずに誠寿と忠彦に相談した。
「誠寿君と忠彦君って陽介君の友達なんでしょう。ちょっと相談に乗って欲しいことがあるの・・・」
 結局これがきっかけとなり、誠寿と萌美は仲良くなって行った。

「でも、するんならメアリーだな。メアリーのスカートは覗きたいなぁ・・・。もしかしたらスケスケかもしれないよなぁ。いや、Tバックかもなぁ」陽介は悪びれもせずそんなことを言う。
「そんな色っぽいもの高校生が履くかぁ」と英治は言ったが、メアリーの大人びた雰囲気はあながちないとも言い切れないと思った。
「忠彦はどうだよ? 見たいか?」
「そりゃ、見たいような、見たくないようなだよ」
「なんだよ、むっつりスケベ。もしかしたらすごくいい匂いがするかもしれないよ」陽介が何かを想像していやらしい顔をして話す。