オナラはなんでも知っている

 英治はゆかりたち三人の隣からもう一人の人影が現れるのを見た。そんなところに人はいなかったはずだ、それなのに、それなのに、事もあろうに、暗闇の中から誠寿が現れた。
『おかしい、自分が教室に入った時には確かに誰もいなかったはずなのに・・・。いったいどこにいたんだ?』

「僕そんなこと頼んでないよ」
 誠寿は萌美から忠彦君のことで誠寿君にも見てて欲しいことがあるからと言われてこの教室に残っていた。ゆかりと啓からは相手は気がつかないから声を出さずにそこにいてくれればそれでいいからと言われた。目の前で起こっていることが信じられなかった。
「確かに忠彦には腹が立ったけど、僕そんなこと頼んでないよ」誠寿が困惑した表情を浮かべて英治に言う。
「・・・」
「英治君、全てはあなたが仕組んだんでしょう」ゆかりが詰め寄る。
「・・・」
『僕は、この学校で一番頭がいいんだ。こんなバカな奴らに負けるはずはないんだ。こんなやつらなんか・・・。よく見たら僕がドキドキする必要のない奴らじゃないか。認めないことだ、認めずに誰かのせいにしてしまえばいい』
 英治は自分をなんとか落ち着かせ、考えた。力では叶わないけど、こいつらは話を聞こうとしている。話を聞こうとするうちはごまかせるはずだ。きっとうまく行くはずだ。考えることなら絶対に負けない。
「・・・最初は、忠彦から教えてもらったんだ」とっさに考えた言い訳だったが、これなら上手くいく気がした。後は喋りながら考える。辻褄が合うように。自分自分も騙すつもりで喋ればいい。
「忠彦がメアリーの椅子はいい匂いがするって。一緒に椅子の匂いを嗅ごうって誘って来たんだ。いい匂いがするから嗅いでみろって。あいつ、変態だって知らないだろう?」そうだ、あいつは変態だったんだ。何か変態の話をしないと・・・。こいつらが信じるような変態の話をここで入れ込もう。