オナラはなんでも知っている

 愛美はブルブル震え出して青い顔になった。「あたしまさか徳乃真があんなことするなんて思わなかったから、ただ別れればいいと思って・・・。だから本当は誰が出したかわからないようにそっとメアリーの机に入れようと思ったの。そしたら変態の忠彦が椅子の匂い嗅いでたから偶然だけどちょうどいいと思って。それで・・・、本当にごめんなさい」愛美はメアリーに直角にお辞儀をして謝まった。
「・・・」
 ゆかりと啓は顔を見合わせた。
「ちょっと待って、偶然て何?」
「えっ?」
「今、忠彦くんが椅子の匂いを嗅いでいたから偶然だけどちょうどいいって言わなかった」
「だって、本当にちょうどよかったんだもん」
「忠彦君はメアリーの椅子に自分の写真があって、それを取ろうとしてたのよ。写真を置いたのは愛美ちゃんじゃないの?」
「・・・知らない。私そんなことしてない」
 ゆかりは啓を見た。
「じゃあ誰が写真を置いたんだ?」啓はわからなくなってゆかりに聞いた。
「ねぇ、メアリーあの時どうして教室に戻ったの?」
「それは・・・確か、「先生が教室で待ってる」って言われたのよ」
「だれから?」
「いつもあたしをジロジロ見ている気持ち悪い奴」
 ゆかりと啓が顔を見合わせた。
「陽介君?」

5月10日 火曜日
 どうしても確かめないといけないことがあり、啓とゆかりは二人で忠彦のお見舞いにやってきた。
「あれ、珍しいね、啓君とゆかりさんなんて」
 忠彦は啓からおっぱいの話を聞いていたので啓とゆかりを見てニヤニヤ笑ってしまった。啓も忠彦につられてニヤニヤしてしまう。すると二人のニヤニヤを見ていたゆかりが「何、二人ともニヤニヤして気持ち悪い」と言うと、忠彦は「いや、別に、男同士の秘密」と言ってごまかした。
 三人は病室を出て散歩に出かけることにした。忠彦はまだ車椅子での移動で、啓は車椅子を押しながら「そういえば、徳乃真は退学になるんだって」と今日の昼泉先生から聞いたことを忠彦に伝えた。
「そう」
「うん。それでアメリカの高校に留学するんだって」
「アメリカに行くの?」
「うん。でもね本当は前から決まってたらしいんだ。だから退学になってもちょっとその予定が早まっただけなんだって」
「そうか」
「なんか、面白くないよね」
「よかったよ」
「えっ?」
「なんで?」これにはゆかりも驚いた。