「黙って!」
そういうと、啓は忠彦のお尻の辺りに顔を持っていき、思いっきり息を吸った。「スッーハッー!」
「何?」事情を知らない忠彦はただただ困惑する。「何やってるの?」
うまい具合に忠彦の濃いオナラを嗅ぐことができた。頭の中で忠彦の心模様が構築されていく。
「そんなことしたら臭いだろう」
啓は忠彦が喋るのを手で遮った。今は集中しなければならない。オナラが運んできた忠彦の考えを積み上げる。なぜあんなことが起こったのか、椅子の匂いを嗅いだ時、その前後の出来事それが分かればいい。
『・・・! そうか、そうだったのか』
「僕、今日はこれで帰るよ」
「ねぇ、君ってもしかして」
啓は忠彦に自分の正体がバレたのではと思った。
「変態なの?」
「・・・僕は、臭い研究家なんだ」そう言って啓はその場を後にした。
夕方6時、ゆかりは家の近くの公園で啓を待った。話を聞くだけなら電話でもよかったのかもしれないが、やはり直接会って話を聞いたほうが情報量が違う。ゆかりが待っていると啓が自転車に乗ってやってきた。
「ごめん、待った?」
「何かわかったの?」
「うん、ずいぶんわかって来たよ」
「それで?」
「ちょっと待って、息が切れちゃって」
啓はよっぽど急いでやってきたのだろう、息をゼーゼー言わせていた。ゆかりはそんな啓のために公園の脇にある自動販売機で缶ジュースを一本買ってきた。
「はい」
「あっ、ありがとう」
啓はそういうと、渡された缶ジュースを一気に飲み干した。
「落ち着いた?」
「うん」
「それで?」
「忠彦君がメアリーの椅子の匂いを嗅いだのは1回だけだった」
「でも、メアリーの椅子の匂いを嗅いだのは2回だったでしょう」
「うん。つまり最初に嗅いだやつは忠彦君じゃないんだ。忠彦君が匂いを嗅いだのは2回目のあの時だけだ。しかも純粋に匂いを嗅いだわけでもない」
「何、どういうこと?」
「いいかい今から話すことは忠彦君のおならから嗅ぎ取ったその時の心の記憶だよ」
「うん」
「あの時忠彦君は教室に行った。
誰もいない教室は物音一つしなかった。隣の教室も反対側の教室も誰もおらず、水を打ったようにしんと静まり返っている。遠くから運動部の声と吹奏楽部の楽器の音がかすかに聞こえて来た。忠彦君は教室の中を見回すと真ん中あたりの机の上に何かがあることに気が付いた。
そういうと、啓は忠彦のお尻の辺りに顔を持っていき、思いっきり息を吸った。「スッーハッー!」
「何?」事情を知らない忠彦はただただ困惑する。「何やってるの?」
うまい具合に忠彦の濃いオナラを嗅ぐことができた。頭の中で忠彦の心模様が構築されていく。
「そんなことしたら臭いだろう」
啓は忠彦が喋るのを手で遮った。今は集中しなければならない。オナラが運んできた忠彦の考えを積み上げる。なぜあんなことが起こったのか、椅子の匂いを嗅いだ時、その前後の出来事それが分かればいい。
『・・・! そうか、そうだったのか』
「僕、今日はこれで帰るよ」
「ねぇ、君ってもしかして」
啓は忠彦に自分の正体がバレたのではと思った。
「変態なの?」
「・・・僕は、臭い研究家なんだ」そう言って啓はその場を後にした。
夕方6時、ゆかりは家の近くの公園で啓を待った。話を聞くだけなら電話でもよかったのかもしれないが、やはり直接会って話を聞いたほうが情報量が違う。ゆかりが待っていると啓が自転車に乗ってやってきた。
「ごめん、待った?」
「何かわかったの?」
「うん、ずいぶんわかって来たよ」
「それで?」
「ちょっと待って、息が切れちゃって」
啓はよっぽど急いでやってきたのだろう、息をゼーゼー言わせていた。ゆかりはそんな啓のために公園の脇にある自動販売機で缶ジュースを一本買ってきた。
「はい」
「あっ、ありがとう」
啓はそういうと、渡された缶ジュースを一気に飲み干した。
「落ち着いた?」
「うん」
「それで?」
「忠彦君がメアリーの椅子の匂いを嗅いだのは1回だけだった」
「でも、メアリーの椅子の匂いを嗅いだのは2回だったでしょう」
「うん。つまり最初に嗅いだやつは忠彦君じゃないんだ。忠彦君が匂いを嗅いだのは2回目のあの時だけだ。しかも純粋に匂いを嗅いだわけでもない」
「何、どういうこと?」
「いいかい今から話すことは忠彦君のおならから嗅ぎ取ったその時の心の記憶だよ」
「うん」
「あの時忠彦君は教室に行った。
誰もいない教室は物音一つしなかった。隣の教室も反対側の教室も誰もおらず、水を打ったようにしんと静まり返っている。遠くから運動部の声と吹奏楽部の楽器の音がかすかに聞こえて来た。忠彦君は教室の中を見回すと真ん中あたりの机の上に何かがあることに気が付いた。

