「ありがとう。漫画面白かったよ」
「でしょう、あれ僕好きなんだ。また新しいの持ってきたから」
「よかった。母さんがおやつを置いていったんだ。よかったら一緒に食べない?」
「うん。ありがとう。食事の制限はないの?」
「うん、別に内臓はどうもなってないから何を食べてもいいんだって」
「・・・」
「毎日何をやってるの?」
「映画を見たり、本を読んだりだよ」
「暇だね」
「うん、暇だよ」
また、沈黙が続く。
「いつ退院できるの?」
「まだまだ先」
「なんか、今まであんまり話したことないから、何話していいか分からないね」
「うん」
会話はそれで終わり、きっちり1時間忠彦のそばで漫画を読んでオナラを待った。だが待てど暮らせどなかなかオナラを嗅ぐことはできなかった。
ゴールデンウィークはそうやって過ぎていった。
一方のゆかりは啓からの報告を待つしかなかった。自分では何もできないことが歯痒くて仕方がない。そんなゆかりをよそに萌美は徐々に元気を取り戻していた。夜にかかってくる萌美からの電話の声は明るくなり、忠彦とのやりとりを楽しそうに話す。
「忠彦君からメッセージがまたくるようになったの」
「忠彦君から写真が送られてきた」
「この前は電話でちょっとお話しした」
そうやってゴールデンウィークも終わりが近づくと萌美はお見舞いに行った時の話をした。
「このあいだはお見舞いに行ったのよ」
「どう、元気だった?」
「うん。最近、啓君がよくお見舞いに来てくれるって喜んでた」
「へぇ」ゆかりは啓がしっかり仕事をしている事に安心するとともに、その真面目さに産毛が逆立つ。
「そのときにね、お弁当を作って持っていったんだぁ。それを忠彦君が食べて、あたしが忠彦君のお昼を食べたの。忠彦君萌美の作ったお弁当の方が美味しいって言ってくれた。それとね、その時忠彦君と約束したの」
「何を?」
「忠彦君に早く良くなって欲しくて・・・」
「欲しくて?」
「張り合いになればいいかなと思って・・・」
「思って?」
「・・・ダメ、やっぱり言えない」
萌美は恥ずかしそうに口をつぐんでしまった。それでもゆかりは萌美の元気になっていく声に安心する。だが、どうしてこんなことになったのかそれはまだ分からない。心のトゲはまだ刺さったままだ。
5月8日 日曜日
「でしょう、あれ僕好きなんだ。また新しいの持ってきたから」
「よかった。母さんがおやつを置いていったんだ。よかったら一緒に食べない?」
「うん。ありがとう。食事の制限はないの?」
「うん、別に内臓はどうもなってないから何を食べてもいいんだって」
「・・・」
「毎日何をやってるの?」
「映画を見たり、本を読んだりだよ」
「暇だね」
「うん、暇だよ」
また、沈黙が続く。
「いつ退院できるの?」
「まだまだ先」
「なんか、今まであんまり話したことないから、何話していいか分からないね」
「うん」
会話はそれで終わり、きっちり1時間忠彦のそばで漫画を読んでオナラを待った。だが待てど暮らせどなかなかオナラを嗅ぐことはできなかった。
ゴールデンウィークはそうやって過ぎていった。
一方のゆかりは啓からの報告を待つしかなかった。自分では何もできないことが歯痒くて仕方がない。そんなゆかりをよそに萌美は徐々に元気を取り戻していた。夜にかかってくる萌美からの電話の声は明るくなり、忠彦とのやりとりを楽しそうに話す。
「忠彦君からメッセージがまたくるようになったの」
「忠彦君から写真が送られてきた」
「この前は電話でちょっとお話しした」
そうやってゴールデンウィークも終わりが近づくと萌美はお見舞いに行った時の話をした。
「このあいだはお見舞いに行ったのよ」
「どう、元気だった?」
「うん。最近、啓君がよくお見舞いに来てくれるって喜んでた」
「へぇ」ゆかりは啓がしっかり仕事をしている事に安心するとともに、その真面目さに産毛が逆立つ。
「そのときにね、お弁当を作って持っていったんだぁ。それを忠彦君が食べて、あたしが忠彦君のお昼を食べたの。忠彦君萌美の作ったお弁当の方が美味しいって言ってくれた。それとね、その時忠彦君と約束したの」
「何を?」
「忠彦君に早く良くなって欲しくて・・・」
「欲しくて?」
「張り合いになればいいかなと思って・・・」
「思って?」
「・・・ダメ、やっぱり言えない」
萌美は恥ずかしそうに口をつぐんでしまった。それでもゆかりは萌美の元気になっていく声に安心する。だが、どうしてこんなことになったのかそれはまだ分からない。心のトゲはまだ刺さったままだ。
5月8日 日曜日

