オナラはなんでも知っている

 ゆかりが教室から出ていく後を啓がついてくる。ゆかりは校舎の外の自転車置き場に向かった。ここなら他の生徒はやってこない、二人きりになれる。他の生徒に見られて啓と密会していると噂されるのも嫌だったので、なんとなく二人の周りに陰を作り周りから見えないようにして小さな声で話しかける。目の前の啓は何が嬉しいのかニヤニヤしている。
「何? なんで笑ってるの?」
「僕は今まで一人で自分の秘密を隠していたんだ。だから、こうやって二人で秘密を持ったことがなんか楽しくて」
 ゆかりは、啓のいう二人で秘密と言う言葉にゾワッとする。いちいち気持ちの悪さを感じる。
「ねぇ、誰かのオナラを嗅いで欲しいんだね? 僕、本当はタダでは仕事をしない主義だったけど、ゆかりさんならいいよ。好きな人がいるの? どう思ってるか知りたい? 誰のオナラ?」
『やっぱり、やっぱり、正直関わり合いになりたくない』と思う。
「違う。啓君に・・・」
「何?」
「啓君に・・・」協力して欲しいことがあると言いたいのだが、目の前の啓にどうしても心が拒絶してしまう。
「何?」
「協力して欲しいことがあるの」ゆかりは思い切ってお願いした。
「どうしようかなぁ」
『だめだ、やっぱりこいつとは反りが合わない』
「だって今私ならいいって」
「なんか、面倒なこと言いそうなんだもん」
『こいつは意外に勘がいい』
「協力して欲しいのは、忠彦君のこと。私ね、どうして忠彦君があんな目に合わなければいけなかったかの真相が知りたいの」
「どうして?」
「どうしてって、私たちのクラスで起こったことなのよ。それに、」
「それに何?」
「萌美ちゃんがかわいそうでしょう」
「萌美ちゃん?」
「忠彦君の彼女」
「ああ、そうか。ということはあれは萌美ちゃんの依頼だったのかぁ」啓は忠彦の気になっている女性を探した時の依頼者が萌美だということに気がついた。
「そうよ、あんたもこの件に少なからず関わってるんだから。それで、二人が付き合って、そしたら萌美の目の前であんなことがあったのよ。可哀想だと思わないの?」
「へぇ、あのおっぱいが大きい子と忠彦って付き合ってたの?」
「おっぱいが大きいとか小さいとかそんなこと関係ないでしょう」
「あっ、うん」
「あなたにも真相解明のお手伝いをしてもらうからね」
「やだよ」