4月7日 木曜日
始業式は良く晴れた気持ちの良い朝になった。
ゆかりは正門をくぐるとき、新入生を迎えるためにきれいに手入れされた正門脇の花壇を見た。そこには色とりどりにパンジーが咲いていて、大きな花弁をそよ風に揺らす姿にゆかりの心が和んだ。
『綺麗・・・』
校舎に向かって左側の花壇よりも右側の花壇の方が手入れが行き届いている。花の配置とか、行き届いた手入れが花に愛情を感じる。パンジーもそれに応えているかのようだった。学校の花壇は園芸部の生徒が面倒を見ていて、担当する生徒によって微妙に花壇に特色や個性が出ていた。ゆかりはお気に入りの正門右側のパンジーに見送られ、校舎に入って行った。
新しい学年が始まる。そう思うとゆかりは少し気分が重くなる。本来なら楽しい気分になるところだが、またあの雰囲気を味わなくてはならない。
『幽霊女・・・』
あぁあと思いながらゆかりは3階にある2年生の教室に入っていった。
ゆかりが教室に入る。
「!」
一瞬クラスの楽しげな空気が固まったと感じた。
『やっぱりだ』きっと自分の存在がそうさせたのだろうと思う。小学校の噂が中学でも広まり、高校でもまたその噂はついて回った。中学校でも高校でも学年が上がる度に、最初の何日かは自分の噂で持ちきりになり、背後でつぶやかれる声を聞く。いつまで経っても最初のこの反応には慣れない。クラスメイトのささやき声がゆかりに届く。
「幽霊女だぜ、幽霊女」
「ゆかりは幽霊を出すことができるって」
「幽霊と話ができるらしいよ」
あちらこちらで呟かれる小さな声がゆかりの耳にも届く。
ゆかりが黒板に書かれた出席番号順の机に座ると一人の女子生徒が近づいてきた。
「あんなの気にしなくていいからね」ちょっと怒った様子で話しかけてくる。
「また一緒ね。嬉しい」
「もう、本当、みんな勝手なことばかり言うんだから。本当に気にしなくていいからね。後であたしから言っといてあげる」
「いいよ、萌美」
萌美はゆかりの噂を気にしていない唯一の友達で、中学の時から仲がいい。萌美はそこそこ可愛く、おっぱいも大きく明るい性格で男子からの人気もあった。今は同じクラスの誠寿と付き合っていたが、萌美は誠寿よりも何倍も何倍も好きな男子がいた。それは好きというよりも手の届かない芸能人に憧れをいだく、そんな感じだった。
始業式は良く晴れた気持ちの良い朝になった。
ゆかりは正門をくぐるとき、新入生を迎えるためにきれいに手入れされた正門脇の花壇を見た。そこには色とりどりにパンジーが咲いていて、大きな花弁をそよ風に揺らす姿にゆかりの心が和んだ。
『綺麗・・・』
校舎に向かって左側の花壇よりも右側の花壇の方が手入れが行き届いている。花の配置とか、行き届いた手入れが花に愛情を感じる。パンジーもそれに応えているかのようだった。学校の花壇は園芸部の生徒が面倒を見ていて、担当する生徒によって微妙に花壇に特色や個性が出ていた。ゆかりはお気に入りの正門右側のパンジーに見送られ、校舎に入って行った。
新しい学年が始まる。そう思うとゆかりは少し気分が重くなる。本来なら楽しい気分になるところだが、またあの雰囲気を味わなくてはならない。
『幽霊女・・・』
あぁあと思いながらゆかりは3階にある2年生の教室に入っていった。
ゆかりが教室に入る。
「!」
一瞬クラスの楽しげな空気が固まったと感じた。
『やっぱりだ』きっと自分の存在がそうさせたのだろうと思う。小学校の噂が中学でも広まり、高校でもまたその噂はついて回った。中学校でも高校でも学年が上がる度に、最初の何日かは自分の噂で持ちきりになり、背後でつぶやかれる声を聞く。いつまで経っても最初のこの反応には慣れない。クラスメイトのささやき声がゆかりに届く。
「幽霊女だぜ、幽霊女」
「ゆかりは幽霊を出すことができるって」
「幽霊と話ができるらしいよ」
あちらこちらで呟かれる小さな声がゆかりの耳にも届く。
ゆかりが黒板に書かれた出席番号順の机に座ると一人の女子生徒が近づいてきた。
「あんなの気にしなくていいからね」ちょっと怒った様子で話しかけてくる。
「また一緒ね。嬉しい」
「もう、本当、みんな勝手なことばかり言うんだから。本当に気にしなくていいからね。後であたしから言っといてあげる」
「いいよ、萌美」
萌美はゆかりの噂を気にしていない唯一の友達で、中学の時から仲がいい。萌美はそこそこ可愛く、おっぱいも大きく明るい性格で男子からの人気もあった。今は同じクラスの誠寿と付き合っていたが、萌美は誠寿よりも何倍も何倍も好きな男子がいた。それは好きというよりも手の届かない芸能人に憧れをいだく、そんな感じだった。