さっちゃん以外友達という友達もいなかったので、お人形遊びは初めてだった。
「うわー!プテラノドンが空から襲ってきたぞ!逃げろスピノサウルス!」
「う、うおー」
「わあ!ティラノサウルスが卵を産んだぞ!おっきい!」
 翔介くんが、棚から卵を出して机に置く。
「うわー」
「凄いぞ!……って、楽しくないかー」
「え?あ、や、そんなことないよ」
「お絵描きしよう!」
「あ、うん」
 そうして、恐竜の絵を描いた。
「あ、星羅描けた?うわ上手!」
「そんなことないよ」

 こうして平和に過ごしていた。
 たまにお見舞いに来てくれたさっちゃんとも遊んで、楽しく過ごしていた。
 いつしか、彼に惹かれていった。
 でも、幸せな日々は、長く続かなかった。

 わたしの身体は大分強くなり、退院する日が来た。
「しょうくん、また会おうね!」
「うん!せいちゃん、大好きだよ!」
「星羅も大好き!」
 わたしたちは、笑顔で想いを告げあい、さよならをした。