「翔介くん!だーめ!」
「あー、しまった!ご——」
「コラ!禁止!」
 ごめんを連呼する翔介くんに呆れながら、今を大切に生きようと、もう一度思えた。
「あのー、お客様?閉園時間ですので、お帰りになってください」
「あっ……!すみません!帰ります!翔介くん!行くよ!」
 抱き合っているところを見られた恥ずかしさで、翔介くんの手を取り、ずかずか歩いてしまった。
 手から伝わる優しさをずっと感じていたくて、家に送ってもらったときまでずっと手を繋いでいた。

 *

 その日から、休みの日はよくデートをした。一度さっちゃんに会ってとんでもないことになったけれど、幸せで、楽しい時間だった。
 学校でもよく話すようになった。周りからは、陰キャが陽キャのイケメンと話していることが可笑しいのか、奇異の目で見られた。