彼の目を見て焦って答えると、翔介くんは悪戯っ子のように笑った。
 この笑顔がもうすぐ見れなくなると思うと、心臓が締め付けられたように痛くなる。
「星羅。ごめんね」
 また彼が謝って、わたしをそっと抱き締めた。
 同時に、彼が何に対して謝っているのかが分かった気がする。
 わたしは腕の中、必死に言葉を発した。
「翔介くん。もう謝らないでよ。余命のことは、大丈夫だから。今を楽しく生きようよ」
 そっと問いかけると、翔介くんが息を呑んだ。
 余命のことは大丈夫なんて、嘘だった。本当は、身体から伝わってくる体温も、心臓の音も、全部途切れてほしくなかった。
 でも、翔介くんが辛そうな顔をするのは、もっと嫌だった。
「星羅……!そうだね。もう言わない。辛い思いさせてごめんね、あ」