「え……?なんで、金井さんと三谷さんがいるの……?」
 前から聞こえた明るい声の正体は、中学時代の同級生、金井さんと三谷さんだった。
 二人の頭の上に『69年』という数字が浮かんでいる。
 中学時代もこの二人に虐められていたので、恐怖が全身に走る。
「星羅」
「っ、翔介くん⁉︎」
 翔介くんは、わたしの手を離し、鋭い眼光で二人を見る。
「ほっ、程々にね⁉︎」
「なんだぁ?喧嘩?買うよ?」
「お前らさ、星羅のなに?」
「はあ?」
「お前らが星羅の何を知ってんの?なにが最悪、だよ。その言葉一つで星羅がどんだけ傷つくか分かってんのか?星羅がどんだけ苦しんだか、悩んだか、分かって言ってんのか?俺のことはどうとでも言えばいい。だがな。星羅を傷つけんのはぜってぇ許さねぇ!」
「翔介くん、ストップ!ストップ!」
 恥ずかしさと嬉しさで身体全体が擽ったい。 
「あ?もー行こ。話してるとテンション下がる」
「行こー」
 あっさり引いた二人に、わたしは少し肩透かしを食らった気分になった。