頭の上に『75日』という数字が浮かび、今度は違う意味で心臓が跳ねた。
　知らないうちに鼻の上に皺ができ、慌てて直す。
「星羅！僕は、星羅の見えてる数字を上回ってみせるよ。見てて！」
　翔介くんの笑顔に、今はずっと笑っていようと思った。彼の中のわたしが、笑顔であってほしいから。
「うん！行こう！」
　今を翔介くんと一緒に楽しむんだ。
「目指せ全制覇！」
　わたしは手を繋いでいる方の手を空へ突き上げた。
「おー！」
「まずは人気の子熊から！」
「オッケー！行こう！」
　パンフレットを右手に持ちながら数分歩く。翔介くんがわたしのスピードに合わせてくれていることが分かった。
　——と、そのとき。
「あっはは！……ん？あれ、陰キャの田村サンじゃね？」
「ほんとだー！最悪ー！ってかアレ彼氏？パパ活だったりしてぇー！」