先生は、何か察したのか、『トイレトイレ〜』と言って出ていってくれていたから、思いっきり泣ける。
「星羅っ!」
 竹森くんは、涙を光で輝かせて、わたしを抱き締めた。
「ごめん、ごめんな、星羅……!」
 切そうに呟く竹森くんを、わたしはぎゅうっと抱き締め返す。
「うっ……!竹森くん、好きだよ、大好き。こんなわたしを好きになってくれて、ありがとうっ……!そして、わたしを助けてくれて、ありがとう」
「星羅っ……!」
 暫く抱き合って、わたしは竹森くんをベッドに寝かせた。
「倒れたんでしょ?休んでてよ」
「うん、ありがとう」
 竹森くんは、疲れたような眠そうな表情をし、身を捩って眠り始める。
 暫くすると、規則正しい寝息が聞こえ始めた。
 このまま、寝るように死んでしまうんじゃないか。
 そんな失礼なことを考えてしまう自分が嫌になる。
 でも怖くて、そっと彼に近づき、頬に触れた。温かいだけでは安心できなくて、わたしはぎゅっと抱き締めた。此処にちゃんと存在している。