「沙由里さーん、もう口答えしない方がいいよ?見て!高木、ショックで固まってやがる。ああなんのが怖かったらやめとき?あんたらのメンタルの弱さが出ちゃったね」
「っ!」
「おい、原井!帰んぞ!」
「あ、うん」
 二人が北校舎から出たのを確認すると、わたしは壁にもたれかかって休憩した。あんなに暴言を吐いたことがなかったから、凄く疲れる。
 どうすれば、竹森くんが戻ってきてくれるんだろう。
 どうすれば、竹森くんが笑いかけてくれるんだろう。
 心臓が、ジクジク痛い。焼けるような痛みに、思わず蹲ってしまった。
 竹森くん……!
 一人でも、いつも頭の中は竹森くんでいっぱいで、彼のことしか考えられなくて、彼の優しさと、笑顔と、強さと弱さと、温かさを求めてしまう。
 ——竹森くんが好きだ。
 竹森くんに逢いたい。逢いたくて逢いたくて堪らない。