「たけっ、もりくっ……!っく、場所をっ、変えようっ……」
廊下で女子が男子に抱きついて泣いていた、なんて噂が立ったら竹森くんに申し訳ない。それに、能力のことを他の人に知られたくなかった。
身体を離し、普段誰も来ない北校舎へ赴く。
掃除が行き届いていないのだろう。北校舎に足を踏み入れた途端、埃っぽいにおいが鼻を刺した。
北校舎は、自殺者が出たらしく、数年前に旧校になった。幽霊が出ると一時期大騒ぎになり、高校の評判が下がることを気にした校長たちが休校にしたそうだ。……まあ、願いが叶うとかなんとかでたまに生徒が出入りしているけれど。
「星羅?」
「あのね、竹森くん。今から言うこと、信じなくてもいいから、誰にも言わないで」
あと少しで竹森くんに会えなくなるなんてまだ信じられなくて、震えが止まらない。
でも、彼には、竹森くんには、話したいと思えた。
竹森くんも、わたしの真剣な表情に気づいたのか、真顔になって頷いてくれる。
「わたし、人の余命が見えるの。頭の上に数字が浮かんで見える。経験上、数字は変えられない」
廊下で女子が男子に抱きついて泣いていた、なんて噂が立ったら竹森くんに申し訳ない。それに、能力のことを他の人に知られたくなかった。
身体を離し、普段誰も来ない北校舎へ赴く。
掃除が行き届いていないのだろう。北校舎に足を踏み入れた途端、埃っぽいにおいが鼻を刺した。
北校舎は、自殺者が出たらしく、数年前に旧校になった。幽霊が出ると一時期大騒ぎになり、高校の評判が下がることを気にした校長たちが休校にしたそうだ。……まあ、願いが叶うとかなんとかでたまに生徒が出入りしているけれど。
「星羅?」
「あのね、竹森くん。今から言うこと、信じなくてもいいから、誰にも言わないで」
あと少しで竹森くんに会えなくなるなんてまだ信じられなくて、震えが止まらない。
でも、彼には、竹森くんには、話したいと思えた。
竹森くんも、わたしの真剣な表情に気づいたのか、真顔になって頷いてくれる。
「わたし、人の余命が見えるの。頭の上に数字が浮かんで見える。経験上、数字は変えられない」