心臓を抑えて呻いていた姿を思い出し、寒気が全身に走る。
「星羅」
　彼が、微かに震えた声でわたしに呼びかけた。
「星羅。僕は……」
　言わないで。やめて。そう言いたいのに、喉がまるで動かない。
　耳を塞ごうとするも、手が震えて言うことを聞かない。
　強すぎる程の悪寒と嫌な予感が、震えと共に駆け上がってくる。
「星羅。僕は、心臓の、病気なんだ。あと半年も持たない」
　ああ。聞いてしまった。一番聞きたくなかったことを、聞いてしまった。
　目の前が真っ暗で、何も見えない。
「ねぇ星羅。僕、訊くくらいなら出来るよ。星羅の秘密が星羅自身を縛っているなら、話すだけでも軽くなる」
　その優しい声は、余命のことを受け入れているような気がした。
「星羅」
　ふわり、温かい身体に包まれ、能力のことを無性に話したくなってしまう。
「うっ……。ううっ、あぁっ……」
　嗚咽が止まらない。竹森くんの肩に、涙でシミができる。
「星羅は泣き虫だね」
　竹森くんが、わたしの頭を優しく撫でた。